2015.12.25 | ニュース

スマホアプリは心停止者を救えるか

1,274人のユーザーを調査

from Resuscitation

スマホアプリは心停止者を救えるかの写真

心臓が突然止まってしまった時、その場に居合わせた人が救命処置を適切に行なうことで、後遺症なく生存する割合が増えます。カナダの研究チームがスマホ用救命アプリのユーザーを調査しました。

◆1,274人のユーザーを調査

このアプリでは、心停止の可能性があると見られた患者さんを発見した時に、プッシュ通知を周囲400m以内にいるユーザーに一斉送信します。研究チームは、1,274人を対象にユーザーの特性と通知を受け取った後の行動について調査しました。

対象者の内42%が医療従事者ではない一般の方でした。

 

◆通知に応えた7割が現場にいった

通知を受けた813人の23%が応答し、そのうち72%が現場にかけつけました。ユーザーが現場に到着した場合のうち32%で、患者さんの意識がなく、呼吸の問題が起こっている状態でした。救急車が到着する前に心停止の患者さんを発見した14件のうち、11件で居合わせた人による心肺蘇生法が行われました。

 

このアプリは、プッシュ通知と地図表示により心停止の発生を知らせるだけでなく、周囲のAED設置施設をマップ上に表示します。研究チームが挙げた問題点としては、音量や位置情報の精度などの技術的なことの他、地域内での登録ユーザー数が充分でない等がありました。また、より高い通知の精度などの改善が求められています。こうした改善を重ねることで、救命の助けになるアプリが生まれてくるかもしれません。

参考文献

The PulsePoint Respond mobile device application to crowdsource basic life support for patients with out-of-hospital cardiac arrest: Challenges for optimal implementation

Resuscitation. 2015 Oct 22

[PMID: 26475397]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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