2015.11.20 | コラム

ジェネリック医薬品の"ジェネリック"って??

後発医薬品からジェネリック医薬品へ・・・
ジェネリック医薬品の"ジェネリック"って??の写真
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近年、コマーシャルをはじめ様々なメディアでも耳にするようになった「ジェネリック医薬品」。昨今の医療費増加などに伴いその名称が徐々に浸透してきていますが、そもそも"ジェネリック"とはどの様なものなのでしょうか?

◆ 安い(?)医薬品の理由とは・・・

元々"ジェネリック"とは"一般的な"という意味をあらわします。

医薬品の名称には主薬の成分名(一般名)と、それとは別の商品名があります。消炎鎮痛薬のロキソニン®(製造販売元:第一三共株式会社)であれば、商品名が「ロキソニン」、成分名が「ロキソプロフェンナトリウム」となります。対して、ジェネリック医薬品はロキソプロフェンNa「サワイ」(販売元:沢井製薬株式会社)のように一般名を含む名称で販売されるものが多いことから、"一般的な"という意味の"ジェネリック"という言葉で呼ばれています。(一部、独自の商品名をもつジェネリック医薬品も存在します)

医薬品の新薬が販売されるまでには通常は長い開発期間と莫大な開発費がかかります。その後、効果が認められ医薬品としての承認を受けて世に出るわけですがその際、薬の製造・販売などに対して特許が与えられます。新薬を開発した製薬会社は、特許により薬を独占的に販売できることになります。このとき、薬の値段は開発費を回収できるように計算して決められます。

特許の期間は無限ではなく、20〜25年で切れてしまいます。これにより、他の製薬会社は特許が切れた薬を販売することができます。すでに知られた成分を作るので、開発期間やコストがかなり抑えられ、比較的安価で薬を販売できます。この薬をジェネリック医薬品と呼びます。欧米では語源の通り、ジェネリック医薬品が一般的に広く流通している医薬品となっています。

日本では新薬として先行して販売されている薬を先発医薬品、特許が切れた後に販売された薬を後発医薬品などの呼び名で扱ってきましたが、国際化や医療費高騰の問題などから、近年は後発医薬品をジェネリック医薬品として世間に浸透させていく動きが活発になってきています。

 

◆ 先発医薬品とジェネリック医薬品は"全て"が瓜二つではない

この様に認知度を徐々に上げてきたジェネリック医薬品ですが、欧米に比べるとその使用量はまだ少ないのが現状です。これには様々な要因があるとされています。

ジェネリック医薬品は先発医薬品と臨床上の有効性や安全性は同等な医薬品ですが、100%瓜二つというわけではありません。例えば主な成分は同じでも、使用されている添加物が異なる場合があります。

通常、日本で使用される医薬品添加物は「医薬品添加物事典」に収載されているもので、かつこの事典に収載されている投与経路、最大使用量の範囲内のものです。先発医薬品もジェネリック医薬品もこの枠の中での医薬品添加物を使用しているため、ジェネリック医薬品が特別に危険なものを使用しているわけではありません。

もちろん、添加物が異なればその添加物が体質に合わないなどの可能性もゼロではありません。これに対して、近年に発売されたジェネリック医薬品は、先発医薬品と同様の添加物を用いるものなど更なる安全性を追求したものが出てきています。ほかにも大きくて飲みづらい薬を小さくしたり、コーティングなどにより苦味を少なくしたりするなど、患者目線での質の向上を図っているものもあります。

ジェネリック医薬品はただ安いだけでなく、独自の品質を目指して作られているものもあるのです。

 

◆ ジェネリック医薬品は"安い薬"か?

質の向上があってもなおジェネリック医薬品の普及を妨げているのは、"安い薬"という面へのマイナスなイメージなのかもしれません。(ジェネリック医薬品の中には医療機関での負担金額において先発医薬品との差が生じないものも一部存在します)

日常の生活用品などでは値段が安い→品質が劣る(?)…という感覚に陥りがちですが、ことジェネリック医薬品に関しては前述の通り、安くできる理由がしっかりと存在します。また日本の品質基準、特に医薬品の品質基準は世界でも非常に高いレベルにあるとされ、ジェネリックに関しても(特に1990年代後半からの)厚生労働省によるガイドラインの制定(「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドライン」など)などにより、先発医薬品との有効性や安全性が同等であることが担保されています。

 

ジェネリック医薬品が進歩を遂げる一方で、先発医薬品においてもジェネリック医薬品にはない新たな適応症(薬事承認された効能・効果等)の取得に努めるなど有効性や利便性などを向上させようとする動きがあります。これらは治療の選択肢を増やすなど、患者へのメリットにつながる可能性があります。

ジェネリック医薬品の普及が良い意味での医薬品における競争を生みだしているとも言えます。

 

超高齢化へとひた走り医療費高騰という大きな問題を抱える日本において、ジェネリック医薬品が更に一般的になる日もそう遠くはないのかもしれません。

執筆者

中澤 巧

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。