◆内臓脂肪、皮下脂肪の面積と動脈硬化の関係を検証
今回の研究は、2型糖尿病患者148人を対象に、内臓脂肪と皮下脂肪の面積を計算し、アテローム性動脈硬化の指標との関連を検証しました。 アテローム性動脈硬化の指標は、頸動脈内膜中膜肥厚という、首の動脈の壁の厚さを測定しました。
◆内臓脂肪が多く、皮下脂肪が少ない人は頸動脈の壁が厚い
以下の結果が得られました。
多変量線形回帰分析では、S(-)V(+)は有意に頸動脈内膜中膜肥厚と関連していた(標準化β0.423、p<0.001、調整済みR2=0.549)。 多変量モデルにおいて、S(+)V(+)は頸動脈内膜中膜肥厚と明らかな負の関連性があった。
内臓脂肪が多く、皮下脂肪が少ない人で、動脈硬化が進んでいる傾向があるという結果でした。どちらも多い人では、逆に動脈硬化が進んでいないということがわかりました。
今回の研究は、一時点のデータを解析しているため、因果関係に言及することはできません。しかし、内臓脂肪が多く、皮下脂肪が少ないことは体に良い影響を与えるとは言えなさそうです。 動脈硬化が進むと、脳梗塞などにつながることもあります。予防対策としては、皮下脂肪を少なくすることを治療の目標にしても、あまり効果はないのかもしれません。
執筆者
High visceral fat with low subcutaneous fat accumulation as a determinant of atherosclerosis in patients with type 2 diabetes.
Cardiovasc Diabetol. 2015 Oct 7
[PMID: 26445876]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。