◆異常な免疫を抑制
デュピルマブは、免疫に関わる細胞どうしの情報伝達を阻害することで、異常な免疫反応を抑え、アトピー性皮膚炎の治療をはかる注射薬です。
この研究は、デュピルマブの用量をさまざまに変えて使うことで、アトピー性皮膚炎の治療に対する効果と副作用、また最適な用量を調べています。
対象者は中等度から重度のアトピー性皮膚炎がある成人の患者で、以前の局所治療により十分な効果が得られなかった人が選ばれました。
対象者はランダムに6グループに分けられ、うち5グループの人は用量を変えてデュピルマブの注射を受けました。1グループの人は偽薬の注射を受けました。
◆アトピー性皮膚炎の症状が改善
次の結果が得られました。
EASIスコアの改善において、すべてのデュピルマブ処方が偽薬よりも優れていた(P<0.0001)。週1回300mgの群で-74%(標準誤差5.16)、2週に1回300mgの群で-68%(5.12)、2週に1回200mgの群で-65%(5.19)、4週に1回300mgの群で-64%(4.94)、4週に1回100mgの群で-45%(4.99)、偽薬群で-18%(5.20)だった。デュピルマブを処方された318人の患者のうち258人(81%)、偽薬を処方された61人のうち49人(80%)が治療によって起こる有害事象を報告した。鼻咽頭炎が最も頻繁に見られた(デュピルマブで28%、偽薬で26%)。
どの用量でも、デュピルマブの注射によりアトピー性皮膚炎の症状が軽くなる効果が見られました。副作用と考えられた訴えが偽薬のグループの80%、デュピルマブを使ったグループの81%の人から報告され、うち最も多かったのは鼻とのどの炎症(鼻咽頭炎)でした。
アトピー性皮膚炎の治療は長期間にわたることがあります。デュピルマブの効果が確かなら、かゆみなどのつらい症状に苦しむ人にとって朗報になるかもしれません。
執筆者
Efficacy and safety of dupilumab in adults with moderate-to-severe atopic dermatitis inadequately controlled by topical treatments: a randomised, placebo-controlled, dose-ranging phase 2b trial.
Lancet. 2015 Oct 7 [Epub ahead of print]
[PMID: 26454361]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。