2015.10.12 | ニュース

新生児死亡の危険が増す臍帯ヘルニア(さいたいヘルニア)、起こりやすい場合とは?

アメリカ11年間の統計から

from Obstetrics and gynecology

新生児死亡の危険が増す臍帯ヘルニア(さいたいヘルニア)、起こりやすい場合とは?の写真

臍帯(へその緒)に赤ちゃんの内臓が入り込んでしまう臍帯ヘルニアは、手術で治療しても死に至ることがある、危険な状態です。アメリカの出産の統計から、臍帯ヘルニアの頻度と、関連が見られた要因が報告されました。

◆アメリカの出産調査から

研究班は、アメリカの調査データを使って、1995年から2005年の11年間での出生に見られた臍帯ヘルニアの頻度と、関連する要因を調べました。

 

◆5千人に1人、20歳未満か35歳以上・男の子・多胎で多い

次の結果が得られました。

出生時の臍帯ヘルニアの有病率は10,000生産あたり1.92件であり、経時的な変化の一貫した傾向は見られなかった。臍帯ヘルニアのある新生児は、男性(有病率比1.22、95%信頼区間1.12-1.34)、母親が35歳以上(有病率比1.77、95%信頼区間1.54-2.04)または20歳未満(有病率比1.34、95%信頼区間1.14-1.56)、多胎出産(有病率比2.22、95%信頼区間1.85-2.66)である可能性が大きかった。

新生児死亡率は28.7%であり、うち75%は生後28日以内だった。

臍帯ヘルニアは新生児1万人のうち2人ほどに起こり、男の子の場合、母親が20歳未満か35歳以上である場合、双子などの多胎出産である場合に比較的多く見られました

 

臍帯ヘルニアの予防法は知られていませんが、妊娠中の超音波検査で発見し、あらかじめ手術ができる病院を選んで出産をすることができます。ここで報告された情報は診断の参考になるかもしれません。

なお、臍ヘルニア(いわゆる「出べそ」)は名前が似ていますが臍帯ヘルニアとは違い、多くの場合は自然に治ります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Prevalence, Correlates, and Outcomes of Omphalocele in the United States, 1995-2005.

Obstet Gynecol. 2015 Aug

[PMID: 26241416]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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