βカロテン、ビタミンCで違った聴力低下との関係とは?

食生活と健康の関係について多くの研究があります。アメリカの大規模研究のデータから、ビタミンAやビタミンCの摂取量と聴力低下の関連が報告されました。
◆アメリカの女性6万5千人の追跡調査
この研究は、アメリカで女性を対象に行われた大規模追跡研究から、65,521人のデータを使って、ビタミンの摂取量と聴力低下について、統計解析を行いました。
◆βカロテン、βクリプトキサンチンで聴力低下の頻度減少
次の結果が得られました。
摂取量が最も少ない五分位群と比べて、最も多い五分位群で、聴力低下の多変量調整リスク比はβカロテンについて0.88(95%信頼区間0.81-0.94、Ptrend<0.001)、βクリプトキサンチンについて0.90(95%信頼区間0.84-0.96、Ptrend<0.001)だった。
その他のカロテノイドまたはビタミンAの摂取量について有意な関連は見られなかった。ビタミンCの摂取量が多いことはより高いリスクと関連し、摂取量が75mg/日未満の女性に比べて、1,000mg/日以上(主にサプリメントによる)の女性ではリスク比は1.22(95%信頼区間1.06-1.42、Ptrend=0.02)だった。
ビタミンAまたは体内でビタミンAに変換される物質のうちで、βカロテン、βクリプトキサンチンの摂取量が多い人で、聴力低下の頻度が少なくなっていました。また、ビタミンCの摂取量が多い人では、聴力低下がより多くの人に見られました。
この研究の方法では、ビタミン以外の要因により統計的にビタミンと聴力低下の関連があるように見えていた可能性も否定できません。この結果だけで聴力低下との因果関係は断定できず、また、ビタミンAもビタミンCもともに体に必要な栄養素です。
聴力障害を起こしうる病気はいくつか知られ、それぞれ治療法が研究されていますが、この結果はそうした研究の手掛かりになるかもしれません。
執筆者
Carotenoids, vitamin A, vitamin C, vitamin E, and folate and risk of self-reported hearing loss in women.
Am J Clin Nutr. 2015 Sep 9 [Epub ahead of print]
[PMID: 26354537]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。