◆閉経後の女性を対象に心房細動と除脂肪体重の関連を検証
除脂肪体重とは、体重から体脂肪を除いた筋肉、内臓、骨などを含む体重のことです。
スタンフォード大学などの著者らは、1994年から1998年にアメリカで50歳から79歳の閉経後の女性参加者を集めた研究のデータをもとに、8,832人を対象として、その後およそ11年間の除脂肪体重と心房細動の関連性を検証しました。
◆全除脂肪体重が5kg増えると、心房細動を発症する危険性が1.24倍に
以下の結果が得られました。
共変量で調整した後、除脂肪体重のすべての指標は、心房細動の発症率がより高いことと独立して関連しており、全除脂肪体重[ハザード比1.24/5kg増加、95%信頼区間1.14-1.34]、中心除脂肪体重(ハザード比1.51/5kg増加、95%信頼区間1.31-1.74)、末梢除脂肪体重(ハザード比1.39/5kg増加、95%信頼区間1.19-1.63)であった。 全除脂肪体重と心房細動の関連は、全脂肪量で調整した後も有意のままであった(ハザード比1.22/5kg増加、95%信頼区間1.13-1.31)。
除脂肪体重と心房細動は関連しており、除脂肪体重が5kg増えると心房細動を発症する確率が1.2倍程度に増えるという結果でした。
筆者らは、「除脂肪体重がより大きいことは、心房細動の独立した強いリスク因子になる」と述べています。
これまでの研究で報告されてきた体格指数(BMI)と心房細動の関連のみならず、筋肉量を含む除脂肪体重と心房細動も関連があるのではないか、ということを示した研究でした。なんとなく脂肪が多い体型だと不健康だろうというイメージを持って見ると、筋肉や骨が多いほうが心房細動が多いという結果は意外に映るかもしれません。
もちろん、様々な要因が関わり、この結果が示されていると思いますので一概にこの結果から結論することはできません。筋肉や骨の量が多いことで心房細動が起こる理由も定かではありませんので、今後の検証に期待します。
執筆者
Lean body mass and risk of incident atrial fibrillation in post-menopausal women.
Eur Heart J. 2015 Sep 14
[PMID: 26371115]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。