2015.06.07 | ニュース

心房細動は40年で4倍に?

1万人を50年追跡した「フラミンガム研究」から
from Lancet
心房細動は40年で4倍に?の写真
(C) pogonici - Fotolia.com

不整脈の一種の心房細動は、脳梗塞の原因のひとつです。高齢になるに従って増加することが知られており、脳梗塞を予防するため、血液を固まりにくくする薬で治療されることがあります。実際にどのくらい加齢とともに心房細動が増えるのかという点に対して、アメリカで50年にわたって行われた大規模追跡研究によるデータから、心房細動が見つかっている人の数が40年間で4倍になったことなどが報告されました。

◆フラミンガム研究9,511人の情報を解析

研究班は、1958年から2007年にかけて、9,511人の対象者の心臓の病気に関わるデータを追跡調査した研究「フラミンガム研究」のデータを統計解析しました。

データは対象者の性別ごと、また10年の期間ごと(1958年から1967年まで、1968年から1977年まで、1988年から1997年まで、1998年から2007年までの5区分)に区切り、それぞれのまとまりごとに比較しました。

 

◆心房細動が4倍に、死亡率は減少

解析から以下の結果が得られました。

50年間の観察(202,417人年)の間に、1,544人に新しく心房細動発症した(そのうち47%の723人が女性だった)。1958年から1967年と1998年から2007年を比較すると、心房細動の年齢調整有病率は男性で1,000人年あたり20.4から96.2、女性で1,000人年あたり13.7から49.4と、4倍ほどに増えていた。年齢調整発生率は男性で1,000人年あたりの新規発症が3.7から13.4に、女性で1,000人年あたり2.5から8.6に増えていた(すべての比較についてトレンドに対してP<0.0001)。

多変量調整比例ハザードモデルの解析から、脳卒中の発症率は74%減少(95%信頼空間50%-86%、1998年から2007年に対して1958年から1967年でハザード比3.77、95%信頼区間1.98-7.20、トレンドに対してP=0.0001)[...]していた。

1,000人あたりに換算して、心房細動がすでに見つかっている人は、1958年から1967年に男性20.4人、女性13.7人だったのが、1998年から2007年には男性96.2人、女性49.4人と、4倍ほどになっていました。または、新たに心房細動と診断される人は、1958年から1967年に男性3.7人、女性2.5人だったのが1998年から2007年には男性13.4人、女性8.6人に増えていました。

また、脳卒中の発症率は1958年から1967年に比べて、1998年から2007年では74%少なくなっていました

研究班は、「このコミュニティにおいて心房細動の発症率と有病率が増加する傾向は、おそらく部分的には、サーベイランスの強化による」と考察しています。つまり1950年代よりも2000年代には心電図などの検査がよく行われるようになったり、検査で心房細動を見つけ出す精度が上がったため、見逃されていた心房細動が見つかるようになったという効果が、部分的には働いていたのではないか、という指摘です。


心房細動が見つかるようになったとすれば、脳卒中脳梗塞脳出血くも膜下出血)が減ったのは心房細動の治療が効いたからだろうか、というのがまず気になります。この膨大なデータから心房細動の治療をした人としなかった人をうまく取り出すことができれば、参考になる関連が見つけ出せるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

50 year trends in atrial fibrillation prevalence, incidence, risk factors, and mortality in the Framingham Heart Study: a cohort study.

Lancet. 2015 May 7

 

[PMID: 25960110]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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