◆シナカルセト治療群とプラセボ群にランダムに振り分け
シナカルセトは、透析中など、骨の代謝バランスが悪くなったときの治療に使われる薬です。
この研究では、透析治療を受けている患者3,883人を、シナカルセトを用いて治療する群と対照群にランダムに分け、その後の骨折の危険性を検証しました。
◆シナカルセト治療で骨折の危険性は減少
以下の結果が得られました。
臨床的な骨折は、プラセボにランダムに分けられた患者では1,935人中255人(13.2%)、シナカルセトにランダムに分けられた患者では1,948人中238人(12.2%)であった。
ベースラインの特性や複数回の骨折で調整すると、相対ハザードは0.83(95%信頼区間0.72-0.98)であった。
透析治療を受けている患者が、シナカルセトを服用すると骨折の危険性が減少したという結果でした。
透析治療を受けている患者さんの骨折の危険性は、透析治療を受けていない患者さんの危険性と比べてかなり高いと言われています。骨折をすると、さらに治療が必要になり、身体への負担も多くなります。骨折の予防薬が確立されれば、有用です。今後のさらなる検証に期待します。
執筆者
Effects of Cinacalcet on Fracture Events in Patients Receiving Hemodialysis: The EVOLVE Trial.
J Am Soc Nephrol. 2015 Jun
[PMID: 25505257]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。