急性膵炎への経腸栄養で、感染症を予防できるか?

急性膵炎の治療として、栄養療法も重要な部分を占めると言われています。栄養療法のなかでも、経腸栄養の有効性について、『急性膵炎診療ガイドライン2015』で引用されている2004年の論文を紹介します。
◆急性膵炎に対する経腸栄養の有効性について検証
経腸栄養とは、チューブを通して
静脈栄養を行うことで、腸内
今回の研究は、急性膵炎に対し、経腸栄養を実施した群と、経腸栄養とは別の栄養療法を実施した群の有効性を比較している6つの論文をまとめ、検証しました。
◆経腸栄養を実施すると感染症の発生、外科的治療の必要性、入院期間を減少する
以下の結果が得られました。
経腸栄養は、感染症の発生率の
有意 な低下(相対リスク0.45、95%信頼区間0.26-0.78、p=0.004)、膵炎管理のための外科的介入の減少(相対リスク0.48、95%信頼区間0.22-1.0、p=0.05)、入院期間の減少(平均減少2.9日、95%信頼区間1.6-4.3日、p<0.001)と関連した。
経腸栄養は、感染症の発生率、手術などの外科的治療の必要性、入院期間を減らす効果があったという結果でした。一方、死亡率には影響が見られませんでした。
筆者らは、「経腸栄養は、急性膵炎患者において、栄養サポートの選ばれるべき方法である。」と結論付けています。
経腸栄養により、感染予防が可能であるという結果でした。
これらの結果も踏まえて、『急性膵炎
執筆者
Meta-analysis of parenteral nutrition versus enteral nutrition in patients with acute pancreatitis.
BMJ. 2004 Jun 12
[PMID: 15175229]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。