◆5つの研究から急性膵炎に対する抗菌薬治療の有効性を検証
今回の研究は、膵壊死をともなう急性膵炎後の細菌感染に対する予防的な(細菌感染を事前に防ぐ目的の)抗菌薬治療が有効であるか検証している5つの研究をまとめました。
計294名の患者のデータを統合して、抗菌薬治療を行うことで、死亡率が改善したか検証しました。
◆抗菌薬治療により、死亡率が改善
以下の結果が得られました。
分析により、対照群(15.3%)に対して治療群(6%)でオッズ比0.37(95%信頼区間0.17-0.83)有意な死亡率の減少が示された。
抗菌薬治療により死亡率は改善するという結果が見られました。
この研究がされた後、さらに検証された結果、予防的な抗菌薬は死亡率を改善するとは言えないという報告もあり、結論は確定していません。
このような結果なども踏まえて、急性膵炎に対する予防的な抗菌薬治療の推奨について『急性膵炎診療ガイドライン2015』では以下のように記載されています。
- 軽症例に対しては、感染性合併症の発生率・死亡率は低く、予防的抗菌薬は必要ない。
- 重症例や壊死性膵炎に対する予防的抗菌薬投与は、発症早期(発症後72時間以内)の投与により生命予後を改善する可能性がある。
執筆者
Antibiotic therapy for prophylaxis against infection of pancreatic necrosis in acute pancreatitis.
Cochrane Database Syst Rev. 2006 Oct 18
[PMID: 17054156]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。