2015.09.02 | ニュース

1型糖尿病に対する有酸素運動は血液検査値を改善するか

ランダム化比較試験により検証
from Medicine and science in sports and exercise
1型糖尿病に対する有酸素運動は血液検査値を改善するか の写真
(C) Kzenon - Fotolia.com

1型糖尿病は子どもや若い人に多い糖尿病で、生活習慣が主な原因の2型糖尿病とはしくみが違いますが、運動の効果が『科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン』に記載されています。その根拠のひとつとなる2000年の論文を紹介します。

◆トレーニング群と対照群にランダムに振り分け

1型糖尿病の40歳以下の男性をトレーニング群と対照群にランダムに振り分け、12週から16週のトレーニングによる血液検査値への効果を検証しました。

 

◆トレーニング群でコレステロール値や中性脂肪が改善

以下の結果が得られました。

トレーニング群において、全コレステロール値、LDLコレステロール値、アポリポ蛋白Bは減少し、HDL/アポリポ蛋白A-I比は増大した。

トレーニング群と対照群の相対変化を比較すると、運動プログラムにより、HDL/LDL比、アポリポ蛋白A-I/アポリポ蛋白B比、アポリポ蛋白B、中性脂肪の値が改善した。

トレーニングを行うと、コレステロール値や中性脂肪が改善するという結果でした。一方、BMIや体脂肪率、ヘモグロビンA1cには変化はありませんでした。

 

『科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン』では、1型糖尿病に対する運動の効果について、「運動の長期的な血糖コントロールへの効果は不明であるが、心血管系疾患のリスク因子を低下させ、生活の質を改善させる。」と推奨されています。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Aerobic exercise and the lipid profile in type 1 diabetic men: a randomized controlled trial.

Med Sci Sports Exerc. 2000 Sep

[PMID: 10994902]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。