日本発の薬、アルガトロバンで脳梗塞発症後48時間以内に治療

脳梗塞の治療に勧められている薬の有効性に関して、『脳卒中治療ガイドライン2015』で引用されている根拠のひとつとなった1997年の論文を紹介します。血を固まりにくくする薬であるアルガトロバンの効果が示されています。
◆52施設で臨床試験を実施し、アルガトロバンの有効性を検証
今回の研究は、第II相の臨床試験として52施設で、以下のように実施されました。
薬は、初めの2日間は60mg/d、続いて5日間は10mgを1日2回、ゆっくりと
静注 した。グリセロールはアルガトロバン、プラセボ群の両方に、基本的治療として付随して用いられた。
急性期の脳梗塞患者を対象に、アルガトロバンを点滴する群とプラセボ群に振り分け、治療の効果を検証しました。
◆アルガトロバンで運動麻痺と日常生活動作を改善
調査の結果、以下のことを報告しました。
プラセボ群と比べてアルガトロバン群で優れた改善が、特に神経学的
所見 (運動麻痺 )、日常生活動作(歩行、立ち上がり、連続した座位、食事)について示された。これらの改善は、投薬の早期段階から認められた。
また、
発症 早期から投薬した方が良好な結果が得られることがわかった。今回の研究では、アルガトロバン群で出血性脳梗塞が1例発症したが、プラセボ群でも2例発症したことから、自然発生と相違はなかったようであった。
アルガトロバンで治療した群の方が、運動麻痺や、歩行、立ち上がりといった日常生活に重要な動作の改善が良好であったという結果でした。
筆者らは、「これらの結果は、アルガトロバンが急性脳
非心原性脳梗塞(心臓から
脳梗塞の患者全員に適応のある治療ではありませんが、『脳卒中治療
その他にも、血栓溶解療法などの治療選択肢がありますが、それぞれの適応は異なるので、随時紹介していきます。
執筆者
Effect of the thrombin inhibitor argatroban in acute cerebral thrombosis.
Semin Thromb Hemost. 1997
[PMID: 9469625]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。