双子の妊娠、超音波検査はどれぐらいのペースで受ける?

双子の妊娠では、子宮内胎児発育遅延や早産などに注意が必要です。2人の胎児がひとつの胎盤から栄養を受け取る一絨毛膜双胎では特に、2週間ごとの超音波検査が勧められていますが、そうでない場合についても新たに検討がなされました。
◆二絨毛膜双胎とは
双子の妊娠(双胎)はいくつかの種類に分けられます。
胎盤がふたつあり、2人の胎児がそれぞれひとつずつの胎盤から栄養を受け取っている二絨毛膜双胎に対して、胎盤がひとつしかなく、2人の胎児が同じ胎盤から栄養を受け取っている一絨毛膜双胎では、双胎間輸血症候群など特に注意するべきリスクがあります。
この研究は、二絨毛膜双胎に対しても、一絨毛膜双胎と同程度の頻度で
◆2週間ごとに検査し、その必要を検討
研究班は、二絨毛膜双胎と診断された789組の双子の母親を対象としました。妊娠24週から出産まで、2週間ごとに超音波検査を行い、子宮内胎児発育遅延などが発見された結果、出産を人工的に早くする判断がなされた場合を集計しました。
得られた結果に対して、もし検査が4週間ごとにしか行われなかった場合、診断が変わっていたかどうかを検討しました。
◆異常を発見する割合に変化あり
次の結果が得られました。
789組の二絨毛膜双胎妊娠の中で、66組(8%)が「超音波検査によって促された」出産に至った。4週ごとの超音波検査のスケジュールをシミュレートすると、子宮内発育遅延の検出は88%から69%に、異常な臍動脈ドップラー
所見 の検出は82%から62%に減少した。
超音波検査の結果、出産を早くされたのは対象者のうち8%であり、子宮内胎児発育遅延があった場合の88%は正しく発見されていましたが、4週間ごとにしか検査しなければその割合は69%に下がると見られました。
研究班は「この研究は、現在一絨毛膜双胎に対して勧められている2週ごとの超音波検査サーベイランスプログラムが、二絨毛膜妊娠にも拡大されるべきであることを示唆する」と結論しています。
一絨毛膜双胎だけでなく二絨毛膜双胎でも、胎児がひとりだけの妊娠よりも注意が必要と考えられています。具体的にどの程度の対策が必要なのかを考えるために、この結果が参考になるかもしれません。
執筆者
Dichorionic twin ultrasound surveillance: sonography every 4 weeks significantly underperforms sonography every 2 weeks: results of the Prospective Multicenter ESPRiT Study.
Am J Obstet Gynecol. 2015 Aug 7 [Epub ahead of print]
[PMID: 26259909]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。