脂肪肝の線維化がどの程度進んでいるかを診断する、スコアリングシステム
脂肪肝から肝臓の線維化が始まると、その後肝硬変へと移行する可能性があります。線維化の診断に関して、『NAFLD/NASH診療ガイドライン2014』に引用されている2007年の論文を紹介します。
◆非アルコール性脂肪性肝疾患の肝線維化を診断
非アルコール性脂肪性肝疾患などで見られる肝臓の
今回の研究は、肝線維化が進行しているかをより簡単な方法で診断するために、以下の方法で行わまれました。
- 肝生検により診断された計733名の非アルコール性脂肪肝疾患の患者をスコアリングシステムの構成(n=480)と検証(n=253)のための2群に振り分けた。
- 線維化の進行の有無を予測するために、ルーチンの人口統計学的、臨床的そして検査の変数を多変量モデルによって分析した。
肝生検で診断された非アルコール性脂肪肝疾患の患者について、肝臓の線維化が進行しているかどうかと、年齢や血液検査値などに関連があるかを調べました。
◆年齢、高血糖、BMI、血小板数、アルブミン値、肝障害の有無が線維化の予測に有用
調査の結果、以下のことを報告しました。
年齢、
高血糖 、BMI 、血小板 数、アルブミン値、AST/ALT比が、進行した肝線維症の独立因子であった。低いカットオフ値(-1.455)を適用すると、進行した線維症は高い正確度で除外できた(推定群、検証群で陰性的中率はそれぞれ93%、88%、)。
高いカットオフ値(0.676)を適用すると、進行した線維症の存在を高い正確度で診断できた(推定群、検証群で陽性的中率はそれぞれ90%、82%)。
線維化が進行しているかどうかは、年齢、高血糖、BMI、また血液検査のうち血小板数、アルブミン、AST/ALT比という6種類の数値と関連があり、これらの組み合わせから予測することで、診断を生検の結果と高い正確度で一致させることができたという結果でした。
筆者らは、「[...]単純なスコアリングシステムによって、非アルコール性脂肪肝疾患の患者の線維化が進行しているかいないかを正確に分けることができた。」と述べています。
ある程度の線維化の進行を予測できれば、必要のない肝生検を行わずに済むかもしれません。このスコアリングシステムが非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の診断に役立ちうることが
執筆者
The NAFLD fibrosis score: a noninvasive system that identifies liver fibrosis in patients with NAFLD.
Hepatology. 2007 Apr
[PMID: 17393509]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。