手首の骨折が悪化してできる、舟状骨偽関節の治療に関節鏡手術の効果は?

手首にある舟状骨という骨は、転んだときなどの骨折で治りが悪くなりやすく、折れたところがくっつかない状態の治療のため手術が必要になることもあります。韓国の研究班が、小さい傷口から関節鏡を入れて手術する方法の効果を報告しました。
◆治療2年後を評価
研究班は、舟状骨が骨折のあとくっつかないままになってしまった、偽関節という状態の治療を行いました。偽関節の治療には、関節を切り開く手術がありますが、研究班は小さい傷口から
◆97%で成功
次の結果が得られました。
32件(97%)の舟状骨偽関節は
治癒 に成功した。最終フォローアップ時点で、VASによる平均の痛みスコアは減少し(術前は平均4.5、標準偏差1.8、術後は平均0.6、標準偏差0.8、平均差3.9、95%信頼区間)3.2-4.6、P<0.001)、平均の可動屈曲-進展角は増加した(術前は平均100°、標準偏差26、術後は平均109°、標準偏差16、平均差9°、95%信頼区間2-16、P=0.017)。最終フォローアップ時に手術関連
合併症 はなく、関節炎の進行もなかった。
33人中32人で、偽関節の状態は治っていました。痛みや関節が動く範囲などの状態について、手術前と比べて改善が見られました。
研究班は「深刻な変形または関節炎のない舟状骨偽関節の関節鏡治療は、この小さい症例集団の中では有効だった」と結論しています。
関節鏡を使う方法で、普通の手術よりも傷口を小さくすることができます。この研究では骨の状態に応じて手術の方法を使い分けていますが、どんな場合に関節鏡を使うのが最適なのか、多くの面から評価することで、よりよい治療効果が期待できるようになるかもしれません。
執筆者
Is Arthroscopic Bone Graft and Fixation for Scaphoid Nonunions Effective?
Clin Orthop Relat Res. 2015 Aug 7 [Epub ahead of print]
[PMID: 26250139]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。