吸入するインスリンで1型糖尿病を治療、HbA1cを下げる効果

糖尿病の治療に使われるインスリンは、注射以外にも、鼻の粘膜にスプレーして吸収させるなどの方法で体に取り込ませる試みがあります。新しく、吸入器で口から吸いこむタイプのインスリンが開発され、注射に劣らない効果が報告されました。
◆経鼻インスリンと併用して比較
研究班は、1型糖尿病の患者345人を対象として、ランダムに2つのグループに分け、全員に経鼻
◆HbA1cが減少
次の結果が得られました。
Technosphereインスリン群の患者で、HbA1cのベースライン(7.94%、63.3mmol/mol)からの平均変化量(-0.21%、-2.3mmol/mol)はインスリンアスパルト群の患者(ベースラインの7.92%、63.1mmol/molから-0.40%、-4.4mmol/molの変化)に比べて
非劣性 だった。咳(おおむね軽度)が最も多く見られた有害事象であり(Technosphereインスリン群で31.5%、インスリンアスパルト群で2.3%)、患者の5.7%が治療を中止する結果に至った。1秒量のベースラインからの平均変化量について治療群間の差は小さく(40mL)、Technosphereインスリンを中止すると消失した。
吸入インスリンを使ったグループでは、糖尿病の血液検査値であるHbA1cが下がる効果が見られ、注射するインスリンの効果に劣らない範囲と判断されました。安全性については、注射に比べて、咳が出ることが多くなっていました。
インスリンの注射は痛みを少なくするなどの改良が進んでいますが、ほかの方法でもインスリンが使えれば、治療法の幅が広がるかもしれません。
執筆者
Inhaled Technosphere Insulin Compared With Injected Prandial Insulin in Type 1 Diabetes: A Randomized 24-Week Trial.
Diabetes Care. 2015 Jul 15 [Epub ahead of print]
[PMID: 26180109]
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