2015.07.23 | ニュース

iPS細胞による治療へ、急性腎障害に細胞移植でダメージを軽減

京大などでマウスの実験

from Stem cells translational medicine

iPS細胞による治療へ、急性腎障害に細胞移植でダメージを軽減の写真

iPS細胞はさまざまな病気の治療への応用が期待されています。ノーベル賞受賞者の山中伸弥氏を含む京都大学などの研究班が、iPS細胞をもとに作った細胞をマウスに移植することで、急性腎障害に対する効果が得られたことを報告しました。

◆腎臓の前駆細胞を作成

研究班は、iPS細胞をもとに、腎臓の前駆細胞を作ることに成功しました。この細胞は腎臓の組織である「近位尿細管」に似た立体構造を作ることができます。

 

◆マウスの腎臓に移植

研究班は、作成された前駆細胞が治療に使えるかどうかを試すため、マウスに実験的に急性腎障害の状態を引き起こしました。

ダメージを受けた腎臓の一部に前駆細胞を移植したところ、血液検査値のうち腎機能の悪化を反映するBUNとクレアチニンの上昇を抑えるとともに、腎臓の組織に起こる尿細管壊死などの変化を抑える効果が見られました。

研究班は「この結果は、腎疾患に対する再生医療戦略がヒトiPS細胞由来の腎細胞を使って開発されうる可能性を示唆する」と述べています。

 

再生医療は未知の領域ですが、これまで治療が難しかった病気の新しい対策となることを目指して、多くの期待がかかっています。

なお、幹細胞を使った治療の試みはほかにも紹介しています。関心のある方はあわせてご覧ください。

「変形性膝関節症の新治療になるのか?幹細胞で膝関節の軟骨が再生」

http://medley.life/news/item/559402adabe97cfa00f25173

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Cell Therapy Using Human Induced Pluripotent Stem Cell-Derived Renal Progenitors Ameliorates Acute Kidney Injury in Mice.

Stem Cells Trans Med. 2015 July 21 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26198166 ]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る