2015.07.24 | ニュース

心筋梗塞の後、腎臓が悪くてもスタチン治療で生存率改善

アメリカ1万人の観察研究

from The American journal of medicine

心筋梗塞の後、腎臓が悪くてもスタチン治療で生存率改善の写真

心筋梗塞のあとにはスタチンという薬剤でコレステロールを減らすと再発を減らせると言われていますが、腎機能が悪い人は副作用に注意が必要とされます。アメリカの研究で、腎機能が悪い人でもスタチンによって死亡率低下が見られたことが報告されました。

◆心筋梗塞後の人が対象

研究班は、心筋梗塞で入院した人1万人あまりを対象として追跡し、スタチン治療を始めた人とそうでない人で、治療開始後1年間の死亡率などに違いがあるかを調べました。

腎機能の検査値によって分けたグループごとの解析もあわせて行い、腎機能によって効果に違いがあるかを検討しました。

 

◆死亡、入院が減少

次の結果が得られました。

スタチンを開始した人以外(5,583人)に比べて、スタチンを開始した人(5,597人)は傾向スコア調整リスクが死亡(ハザード比0.79、95%信頼区間0.71-0.88)、心血管疾患による入院(ハザード比0.90、95%信頼区間0.82-1.00)に対して低かった。eGFRのレベルによって、効果の違いを示すエビデンスはほとんど見られなかった(死亡についてp=0.86、心血管疾患による入院についてp=0.77)。有害帰結はスタチンを開始した人とそれ以外の人で類似していた。

腎機能にかかわらず、スタチン治療を始めた人は、そうでない人よりも死亡、または心血管疾患による入院が少なくなっていました

 

心筋梗塞が一度起こった人は、全身の血管で動脈硬化が進んでいて、再発のリスクが高い状態にあると考えられます。血中のコレステロールを減らすことによって、動脈硬化に関わる要素を少なくすることが重要なのかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Comparative Effectiveness of Statin Therapy in Chronic Kidney Disease and Acute Myocardial Infarction: a Retrospective Cohort Study.

Am J Med. 2015 Jul 10 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26169887]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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