子どもの耳垢、病院に行ってとってもらったほうがいいの?〔小児科に行く前に〕

よく耳鼻科に耳垢を取ってもらいにお子さんを連れて行き、お子さんが大泣きしている姿をよく目にします。基本的に耳垢は自然と外に出てきて、特別な理由がない限り、医学的に処置をする必要はありません。耳垢についてぜひ保護者の方に知ってもらいたい内容を解説します。
◆耳掃除は必要?
まず、耳垢は掃除した方がいいの?というのが率直な疑問だと思います。
答えは以下の通り。
- 耳垢は自然と外に出てきます。耳掃除は基本的には必要ありません。
- 耳垢は鼓膜までの通り道を保護する役割もあります。
- 耳の聞こえが悪くなるくらい耳垢が溜まっている場合には除去が必要です。
- 鼓膜が見えないときには院内で耳垢を除去します。
よく小児科や耳鼻科に「こどもの耳垢をとってください」と言って来院される方がいます。耳垢は病院に行ってまで取り除かなければいけないものなのでしょうか?
答えは、「無理にとらなくていい」です。
耳垢というのは、耳の中の古くなった皮膚、分泌物の塊です。これは鼓膜までの耳の通り道を保護する重要な役割もあります。そして、口を動かしたり、体位によって動いて自然と出てくるものなのです。また、耳の中の皮膚は、奥から外へと、毎日少しずつ動いています。耳の奥へ、耳垢が貯まらないようにできています。特に乾いた耳垢の人は、めったに掃除をしなくてもいいのです。
◆耳垢を取る必要があるのはどんなとき?
ただし、注意してもらいたいのですが、以下のようなときには耳垢を取り除く必要があります。
- 耳の穴が耳垢でふさがってしまい、耳の聞こえが悪くなっている場合(→めったにありません)
- 耳の奥にある鼓膜を観察するのに、耳垢で見えないとき
この二つの場合です。
また、小さいころから自宅で耳垢をとったり、耳鼻科へ通って耳垢の除去を行ったりすると、耳掃除への恐怖感が強くなり、かえって耳の掃除ができる年齢が遅くなってしまう可能性もあります。
ただ単に、「耳垢が見えていて気になるから取りたい」と保護者のみなさんの考えで、耳掃除を頻繁に行うとかえってお子さんのストレスとなる場合があるため注意してください。
完全にきれいに除去する行為は、外耳道を傷つけてしまったり、鼓膜を傷つけてしまう場合もあります。耳の中に物を入れられることはお子さんにとって、とても怖いことです。必要のない処置に関しては行わないことがお子さんを育てていく上で重要であると考えます。
【編集部注】
この記事は、「キャップスクリニック」のサイトで公開中の記事をもとに作成しています。
執筆者
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。