◆3731人を対象に56週間の試験
著者らは以下の試験を行いました。
56週間の二重盲検試験を、2型糖尿病未発症でBMIが最低30あるいは、脂質代謝異常か高血圧を(治療中でも未治療でも)有する場合最低27の値である3,731人を対象に行った。患者を無作為に2対1の割合で1日に1度リラグルチド3.0mgの皮下注を行った集団(2,487人)と、偽薬投与の集団(1,244人)に分けた。
つまり肥満などがあり将来2型糖尿病を発症する可能性が高い被験者を、全員に生活指導をすることに加え、2群に分けて、一方にはリラグルチド3mgを皮下へ注射しました。もう一方には偽薬を注射しました。そして試験前後でどれぐらいの体重変動があったのか、比較を行いました。
◆リラグルチド投与で、約5kgの減量効果が認められた
以下の結果が得られました。
初期値として、被験者の平均年齢は45.1±12.0歳であり、平均体重は106.2±21.4 kgであった。平均BMIは38.3±6.4であり、全体で78.5%が女性で61.2%が糖尿病前症であった。56週後、リラグルチド投与群は平均8.4±7.3 kg減量し、偽薬投与群は2.8±6.5 kgの減量であった(差は-5.6kgで95%信頼区間-6から-5.1、欠損値は前回の観測値を代入した条件でのp<0.001)。
つまりリラグルチド投与群で8.4±7.3 kgの減量がありますが、偽薬投与でも2.8±6.5 kg減量しており、この差は5.6kgでした。副作用の可能性がある出来事として、吐き気や下痢も報告され、深刻な症状を引き起こした被験者の割合は、リラグルチド投与群で6.2%、偽薬投与群で5.0%でした。
著者らは、「この調査では、3.0mgのリラグルチドが食事及び運動の補助として、減量と代謝調節の改良に関係がある事を示した」と述べています。
吐き気や下痢等が起こった例もあるようですが、偽薬投与群でも一定の割合で存在しており、リラグルチドが原因だったのかどうかについて今後の調査が必要に感じます。また偽薬投与群よりも大きい減量効果が2型糖尿病のリスクが高いほかの集団に対しても再現されるかどうか、今後の研究が待たれます。いずれにせよ減量効果をもたらす糖尿病改善薬の存在は、選択肢の1つとして期待出来るかもしれません。
執筆者
A Randomized, Controlled Trial of 3.0 mg of Liraglutide in Weight Management.
N Engl J Med. 2015 Jul 2
[PMID: 26132939] http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1411892※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。