子どもに重症の肺炎を起こすアデノウイルス7型、シンガポールで流行
かぜの原因のひとつであるアデノウイルス7型は、乳幼児を中心に重症の肺炎を起こします。治療法は確立しておらず、予防法は感染者との接触を避けるなどしか知られていません。シンガポールで2012年から2013年にかけて重症のアデノウイルス感染症が流行し、検査の結果、アデノウイルス7型の感染が多かったこと、感染したウイルスは以前に台湾や中国で流行を起こしたものと類似していたことが報告されました。
◆2011年から2013年の感染例
研究班は、2011年1月から2013年7月の間にシンガポールで見つかった
◆7型の感染が急増
小児科入院患者では、アデノウイルス7型の感染症は2012年11月に初めて報告され、2013年1月から7月にアデノウイルスの遺伝子型の情報が得られた例のうち48.5%(97例)を占めていました。年齢は満0歳から満15歳で、半数が満3歳以下でした。
軍隊の職員の間でも、2012年9月から2013年7月にかけて47例のアデノウイルス感染症が見つあったうち、遺伝子型が検査されたすべての例(35例)がアデノウイルス7型によるものでした。
見つかった
研究班は、結論としてアデノウイルス7型に対する警戒を促すとともに、「これらの実践が、ワクチンによる予防と抗ウイルス治療の有効で素早い展開に貢献しうるかもしれない」と述べています。
アデノウイルス7型の流行は日本でも見られます。MERSの流行が韓国まで広がったように、アジアのほかの国で流行したウイルスが国境を越えて入ってくることは十分考えられます。流行に備えた適切な対策が望まれます。
執筆者
Severe Pediatric Adenovirus 7 Disease in Singapore Linked to Recent Outbreaks across Asia.
Emerg Infect Dis. 2015 Jul
[PMID: 26079293]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。