大腸切除の手術後の死亡率、曜日によって違いがあった

医療スタッフの勤務スケジュールなどと関係して、曜日によって医療機関ごとの治療の結果などに違いが現れることがあります。イギリスの研究班は、大腸がんなどに対して行われる結腸直腸切除術が金曜日に行われた場合、月曜日から木曜日に手術があった場合と比べて死亡率が高かったという統計から、金曜日に手術を受けた患者に多かった特徴として、貧困、低侵襲手術、良性疾患の手術などが見られたことを報告しました。
◆金曜日とそれ以外の平日を比較
研究班は、イングランドで2001年から2011年に行われた結腸直腸切除術の記録を統計解析し、金曜日に手術が行われた場合と、月曜日から木曜日に手術が行われた場合を比較しました。
◆金曜日の手術で死亡増
解析から次の結果が得られました。
主な選択的結腸直腸切除術を受けた患者として計204,669件の記録が抽出された。
マッチングした分析では、金曜日に行われた結腸直腸切除術後の30日死亡率の、月曜日から木曜日に対するオッズ比は1.25(95%信頼区間1.13-1.37)だった。90日死亡率のオッズ比は1.16(1.07-1.25)、1年死亡率のオッズ比は1.10(1.04-1.16)だった。
金曜日に手術を受けた人では、月曜日から木曜日に手術を受けた人に比べて、手術後30日、90日、1年でいずれも死亡率が高くなっていました。
金曜日に手術を受けた人には、貧困、直前3か月以内に緊急入院した、受けた手術が
研究班は「金曜日に結腸直腸切除術を受けるよう選ばれた患者は、月曜日から木曜日に手術を受けた患者に比べて死亡率が高かった。また異なった集団特性を持っていたことから、増加した死亡率は病院の変数だけというよりは患者の要因を反映しているかもしれないと示唆される」と結論しています。
手術の内容に特定の傾向があったことから、それらの手術に死亡とつながりやすい要素があるのか、あるとすればそれは変えられるのか、といった探求のヒントになるかもしれません。
なお、曜日の効果についてはほかの記事でも紹介しています。興味のある方はあわせてご覧ください。
「緩和ケア施設では土日や祝日に死亡者が多い!?」
執筆者
Influence of day of surgery on mortality following elective colorectal resections.
Br J Surg. 2015 Jun 24 [Epub ahead of print]
[PMID: 26104685]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。