◆アメリカ2010年から2013年の虫垂炎の子どものデータから
研究班は、アメリカの35か所の施設で2010年から2013年の間に虫垂炎の診断で救急部を受診したか虫垂炎の手術を受けた子どもについて、使われた超音波検査とCTの数、また手術の結果を比較しました。
◆超音波検査が増え、問題は増えなかった
次の結果が得られました。
虫垂炎が起こった52,153人の子どもが調査の対象となった。超音波検査の使用は46%増加し(2010年の24.0%から2013年の35.3%へ、絶対差分11.3%、線形トレンドに対して調整後の検定でP=0.02)、CTの使用は48%減少した(2010年の21.4%から2013年の11.6%へ、絶対差分-9.8%、線形トレンドに対して調整後の検定で=<0.001)。陰性虫垂切除の割合は4年の研究期間に2010年の4.7%から2013年の3.6%に減少し(線形トレンドに対してP=0.002)、穿孔(2010年の32.3%から2013年の31.9%へ)、救急部再受診(2010年、2013年ともに5.6%)の割合は変化がなかった(線形トレンドに対して調整後の検定で穿孔はP=0.64、救急部再受診はP=0.84)。
合計5万人あまりの子どもが対象になりました。2010年には24.0%で超音波検査が、21.4%でCTが使われていましたが、2013年には超音波検査が35.3%、CTは11.6%と、超音波検査が増え、CTは減っていました。
手術の結果として、虫垂が破れてしまう「穿孔」、また救急部を再び受診することの割合は2010年から2013年の間で増える傾向は見られませんでした。手術で切り取った虫垂が実は虫垂炎ではなかった「陰性虫垂切除」の割合は2010年から2013年の間で減っていました。
検査方法が変わったことにともなって、悪い影響は見つからないという結果が示されました。ただし、ここで挙がった評価項目が、手術の結果を測るのに最適かどうかは考える余地があるかもしれません。
執筆者
Effect of Reduction in the Use of Computed Tomography on Clinical Outcomes of Appendicitis.
JAMA Pediatr. 2015 Jun 22 [Epub ahead of print]
[PMID: 26098076]
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