◆カナダのデータから
研究班は、カナダのケベック州のデータベースを使って、2006年から2009年に出産した人のうち多胎出産のあった人と、一度に一人だけの子を妊娠した人を比較し、受けていた治療との関係を調べました。
◆卵巣刺激と人工授精
次の結果が得られました。
1,407件の多胎出産と、3,580件の対照が解析された。医療によって補助された妊娠のあとの多胎出産の半分以上(53.6%)が、子宮内の授精が行われた場合も行われなかった場合も含め、卵巣刺激を受けた女性に起こっていた。自然妊娠に比べて、卵巣刺激単独の使用(調整オッズ比4.5、95%信頼区間3.2-6.4)および、子宮内授精をともなう卵巣刺激(調整オッズ比9.32、95%信頼区間5.60-15.50)は、多胎出産のリスクを増やした。
排卵を促す卵巣刺激が行われていたときに多胎出産に至ることが多く、卵巣刺激とともに子宮内に精子を注入する人工授精が行われていた場合はさらに多胎出産の割合が多くなっていました。
研究班は、「侵襲的生殖補助医療と関連する多胎出産のリスクは単一胚移植の選択的実施によって減らすことができるが、卵巣刺激が単独でまたは子宮内授精とともに使われた場合に関連する大幅なリスクの増加には特別な注意が払われるべきである」と結論しています。
深刻な結果につながる場合はわずかとはいえ、多胎には注意が必要と言われています。医療技術がなかなか妊娠できなかった人の助けになると言っても簡単なことではなく、利用する人と医師の間で十分に情報が共有されるとともに、多胎についても十分な備えがなされることが重要と言えるかもしれません。
執筆者
Association between ovarian stimulators with or without intrauterine insemination, and assisted reproductive technologies on multiple births.
Am J Obstet Gynecol. 2015 Jun 12 [Epub ahead of print]
[PMID: 26079626]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。