拒食症から27年後まで残っていた傾向、女性に多い摂食障害とその後の健康の関連
摂食障害は女性に多く、栄養失調による死亡につながる場合もあり、危険な状態です。拒食症(神経性食思不振症)、過食症(神経性大食症)ともに、行動療法などにより普通の食事ができるよう治療されます。しかし、スイスで治療後長期間が過ぎた女性の検査結果を集計したところ、同じ年齢層の人に比べて骨密度と筋力が低い傾向が見つかりました。
◆平均27年後のスイスの女性を調査
研究班は、「神経性食思不振症から回復したのち安定した状態でいる、回復後平均27年間経過したスイスの女性22人」を対象として、骨の検査値と筋力測定の結果を、年齢を揃えた女性のグループ73人と比較しました。
◆骨密度、筋力が低い傾向
調査から次の結果が得られました。
神経性食思不振症の既往がある女性は、年齢と性別でマッチした対照群と比べて、片足ホッピング床反力が11.6%小さく(P=0.001)、脛骨4%位置と14%位置での体積骨密度が
有意 に低く、体重が11.9%小さかった(P<0.001)。
過去に神経性食思不振症があった女性は筋力が弱く、すねの骨の骨密度が低い傾向がありました。
もともと華奢な人が摂食障害になりやすかったとも考えられ、必ずしも摂食障害による変化が残っていたとはこの研究からは言い切れませんが、原因にせよ結果にせよ、20年以上後にも差があったという結果は、一生のうち多くの期間で骨や筋肉が比較的弱いタイプの人が一定数いるのではないか、と想像させます。若い人が、歳を取ってからの健康を考えるときに参考になるかもしれません。
執筆者
Reduced bone strength and muscle force in women 27 years after anorexia nervosa.
J Clin Endocrinol Metab. 2015 Jun 18 [Epub ahead of print]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。