◆世界各地域の耐性菌の割合を推計
研究班は、世界の各地域について、結核の感染者数などの報告を集め、地域ごとに子どもの結核のうちイソニアジド耐性菌によるものが占める割合と、その患者数を見積もりました。
◆1年で12万人の子どもが耐性菌で発症
推計の結果は次のようになりました。
結核に罹患したすべての子どものうち12.1%はイソニアジド耐性菌によるものであり、イソニアジド耐性結核菌による結核は2010年に120,872人(95%信頼区間96,628人から149,059人)の子どもに発症したと推定した。その多数は西大西洋と東南アジア地域で発生しており、ヨーロッパ地域では子どもの結核のうちイソニアジド耐性の割合が最も高い26.1%(95%信頼区間20.0%から33.6%)と見られた。
イソニアジド耐性菌による結核は2010年の1年間で約12万人の子どもに起こり、ヨーロッパでは子どもの結核のおよそ26%を占めると見られました。
結核は、有効な抗菌薬が登場する20世紀半ばまで、重要な死因のひとつでした。最近はイソニアジドのほかリファンピシンなどほかの抗菌薬も効かない多剤耐性結核菌が問題になっています。早期発見と適切な抗菌薬使用による治療が重要です。
なお、MEDLEYニュースでは結核発症のリスクについての研究も紹介しています。興味のある方はあわせてご覧ください。
執筆者
Global and Regional Burden of Isoniazid-Resistant Tuberculosis.
Pediatrics. 2015 Jun 1 [Epub ahead of print]
[PMID: 26034243]
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