◆塩基配列のSNPを探索
研究班は、ゲノムワイドメタアナリシスという手法で、DNAの中にある「SNP」という要素に注目して、コーヒーを飲む量と関連する要素を探しました。
DNAは、4種類の塩基の配列によって長い文字列のような構造になっています。この文字列の中に、ある程度の長さを持った文章として、遺伝子の情報が書き込まれています。
人によって持っている遺伝子には違いがありますが、より詳しく見ると、1文字(1個の塩基)単位で人によって違っている場所があります。このように1個の塩基に個人差があることをSNP(一塩基多型)と言います。
◆コーヒーと関連する8か所を特定
対象者のDNAに見つかったSNPとコーヒーを飲む量の関係を統計解析した結果、8か所のSNPが、コーヒーを飲む量と関連していました。
そのうち6か所はカフェインの代謝と関係する可能性がある遺伝子の一部、あるいはその近くでした。また4か所は、この研究よりも前に、肥満や血圧との関連を指摘されていたものでした。
研究班は「[...]我々の遺伝学的発見は、カフェインに習慣的なコーヒーの消費を媒介する役割があることを支持する。また、コーヒーの健康に対する効果と薬理的効果の個人間の多様性の背景となる分子機序を示すものかもしれない」と結論しています。
コーヒーを飲む量が遺伝だけですべて決まるわけではないにせよ、遺伝要因によってコーヒーを飲む量に違いが出ていたという結果には驚かされます。このことがどんな研究につながるのでしょうか?
次回はこの研究でも挙がっているSNPを手がかりに、コーヒーと健康に因果関係があるかどうかを調べた研究を紹介します。ご期待ください!
執筆者
Genome-wide meta-analysis identifies six novel loci associated with habitual coffee consumption.
Mol Psychiatry. 2015 May
[PMID: 25288136]
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