2015.06.22 | ニュース

意識障害の人が好きな音楽を聞くと、呼びかけに脳が応えた

好きな音楽を聞いた後の脳波を分析

from Neurorehabilitation and neural repair

意識障害の人が好きな音楽を聞くと、呼びかけに脳が応えたの写真

音楽には、物事を認知する過程に良い影響を与えていることが既に明らかになっていました。そこでこの研究では、意識障害を起こした人が音楽を聞くことによる効果に着目しています。音楽を聞いた後では呼びかけに対する反応が出やすいという結果が得られています。

◆意識障害とは?

意識障害とは、急性脳症などさまざまな原因で脳がダメージを受けたことにより起こる症状で、意識がもうろうとしていることや、いわゆる「意識がない」状態を指します。つまり外部から与えられた刺激に対する応答が低下した状態を言います。

 

◆意識障害患者13人を対象に脳波を分析

この研究は、意識障害を持つ13人の患者を対象としました。

対象者に、それぞれ好きな音楽を抜粋した一部分か連続的な音のいずれかを聞かせた後に、対象者の名前を呼びかけました。

そのときに、対象者の脳波の応答を分析することで、音楽が与える影響について調べました。

 

◆好きな音楽を聞くことによって、脳波に良好な反応が...

名前を呼んだときの対象者の脳波を分析した結果、連続した音よりも好きな音楽を聞いた時の方が、より多い割合で脳波の応答が確認されました。

さらに研究チームは、「音楽を聞かせたときの弁別応答があるときは結果がよりよいという関連があるように思われた」と報告しています。

これらの結果から研究チームは、「おそらく音楽が個人の感情に関わっていることにより、覚醒および/または意識回復が促されている」と考えています。

 

音楽は、意識障害の状態にあっても心に届きやすいのかもしれません。

執筆者

鈴木あいか

参考文献

Boosting Cognition With Music in Patients With Disorders of Consciousness.

Neurorehabil Neural Repair. 2015 Feb 3

[PMID: 25650390]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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