◆約7万5千人を対象にした追跡研究
著者らは以下の調査を行いました。
普段食べる果物および野菜の摂食と股関節骨折の量依存的な関連を調べる為に、Cohort of Swedish Menから40,644人の男性と、Swedish Mammography Cohortから34,497人の女性に対するコホート研究を行った。対象者は心血管疾患、癌を発症しておらず、1997年に生活様式の質問に答えている(年齢は45才から83才)。果物と野菜の摂食は食事頻度の質問項目から推定し、股関節骨折の頻度は1998年から2010年のSwedish Patient Registerから計算した。平均追跡期間は14.2年である。
つまりスウェーデンの約7万5千人を対象として、生活様式の質問から果物と野菜の食事頻度を割り出し、スウェーデンで登録されている病歴から股関節骨折の頻度を割り出しています。統計解析でこれらの関連を調べました。
◆1品目食べるだけで骨折割合が低下
著者らは以下の結果を得ました。
1,037,645観察人年で、3,644例の股関節骨折(2,266例、62%が女性)を起こしていた。量依存的な関連は非常に非線形的であった (p < 0.001)。0品目食べる男女は5品目食べる男女より、88%も高い骨折危険率を示した(ハザード比1.88、95%信頼区間1.53-2.32)。この割合は摂食の多さと共にだんだん低くなり、1品目と5品目食べる男女では調整ハザード比は1.35(95%信頼区間1.21-1.58)であった。しかしながら5品目を超えて食べても危険率は低くならなかった(8品目摂食と5品目摂食の比較では、骨折の調整のハザード比0.96、 95%信頼区間0.90-1.03)。
観察人年とは、観察した人数とその観察期間をかけた単位です。非線形とは、食べた量と骨折危険率の関係が一定ではない事を示しています。
つまり全く果物や野菜を食べない人は骨折危険率が高いのですが、1品目でも食べればその危険率は減り、そして5品目より多く食べても、危険率は変わらないという結果でした。
著者らは、「果物と野菜の摂食と股関節骨折に関し量依存的な関連があり、推奨されている5品目未満の摂食は股関節骨折の危険率を上げる。5品目より品目を多くしてもリスクは減らない」と結論づけています。
食べ過ぎは良くない、という結果ではなく、骨折に対する効果が上がらないだけで、6品目食べることで他の効果があるかどうか、この結果だけではわかりません。この結果を見ると、5品目と定めたスウェーデンの食事ガイドラインがちょうどよかったのかもしれません。私は1日5品目確実に取れてるかどうか怪しいので、今度親から野菜を送ってもらおうと思います。
執筆者
Fruit and vegetable intake and risk of hip fracture: a cohort study of Swedish men and women.
J Bone Miner Res. 2015 Jun
[PMID: 25294687] http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/jbmr.2384/abstract
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