◆1~4歳の乳幼児を対象に研究を実施
著者は以下の方法で、研究を行いました。
1歳児5,276名を対象とした集団縦断ヘルスナッツ研究の参加者のうち、ピーナッツ経口試験を通じてピーナッツアレルギーが確認された乳幼児156名に対しては、4歳になるまでピーナッツ経口試験を引き続き行った。そのうち、103名の乳幼児に対しては、皮膚プリックテストを実施し、sIgEレベルを調べた。
1歳児5,276名に対してピーナッツを与える試験を行い、ピーナッツアレルギーが確認された乳幼児156名に対して、引き続き4歳になるまで試験を行いました。103名の乳幼児に対して、皮膚プリックテストと、sIgEレベルの検査値が得られました。
皮膚プリックテストは、皮膚に小さな傷をつけ、アレルギーを起こしうる物質(ここではピーナッツの成分)を少量触れさせることでできる赤い腫れ(膨疹)の大さを測る検査です。
sIgEは、アレルギーを起こした物質(ピーナッツ)に反応して血液の中で作られた抗体で、皮膚プリックテストの膨疹の大さと同様、アレルギー反応の強さの目安になります。
◆2項目でそれぞれ95%的中
分析結果は以下のとおりです。
4歳になるまでに、ピーナッツアレルギーが22%解消された。(95%信頼区間、14~31%)。
1歳の時に実施したSPT反応の閾値は「13mm以上」、sIgEレベルについては「5.0kU/L以上」とすることで、持続するピーナッツアレルギーを陽性正診率95%で予見できた。また、4歳になった時に測定されたSPT反応閾値を「8mm以上」、sIgEレベルについては「2.1kU/L以上」とすることで、持続するピーナッツアレルギーを陽性正診率95%で予見できた。
すなわち、1歳のときに「皮膚プリックテストの膨疹の大きさが13mm以上」または「sIgEが5.0kU/L以上」の場合、95%以上の子どもで4歳の時にもピーナッツアレルギーが続いていました。また、4歳時においては「皮膚プリックテストが8mm以上」または「sIgEが2.1kU/L以上」の場合、95%以上の子どもでピーナッツアレルギーが続いていました。
この報告により、乳児の時点でピーナッツアレルギーが今後続きそうかを検査によって予測できる可能性が示唆されました。
この診断基準がほかの集団にも当てはまり一般的に使えるかどうかは、今後さまざまな条件で検証されればしだいに明らかになっていくと思われます。ピーナッツアレルギーの治療がよりスムーズに行われるようになるといいですね。
執筆者
Natural history of peanut allergy and predictors of resolution in the first 4 years of life: A population-based assessment.
Journal of Allergy and Clinical Immunology. 2015 May
[PMID: 25725989]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。