2015.04.21 | ニュース

太ると病気になるのはこの物質のせい?

肥満マウスの脂肪組織で特定
from Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
太ると病気になるのはこの物質のせい?の写真
(C) esolla - Fotolia.com

肥満は糖尿病、動脈硬化など多くの病気の原因になります。その過程には脂肪組織の慢性的な炎症が深く関わっていると考えられていますが、肥満によって脂肪組織の炎症が起こるしくみは明らかになっていません。大阪大学の研究班は、マウスの実験で、肥満が始まるときに脂肪組織に炎症を起こす物質を特定しました。この物質の働きを抑えることで、肥満マウスの血糖値を改善することにも成功しています。

◆マウスを肥満させて画像で観察

実験では、マウスに脂肪分と糖分の多い餌を与えて肥満させ、生体内多光子撮像という技術で生きたまま体内の脂肪組織を観察し、肥満が進むにつれてどのように炎症が起こるのかを調べました。

すると、餌を変えて5日目の、まだ肥満が明らかでないときから、脂肪組織に白血球が集まり始め、また「S100A8」という物質が脂肪細胞の中で増えることがわかりました。

 

◆S100A8が炎症を起こしていた

このS100A8をマウスの組織に与えたところ、白血球を集める効果が確かめられました。また、S100A8に対する抗体を与えてこの働きを抑えたところ、白血球の活動を抑えることに加え、インスリン抵抗性を改善することができました。

インスリン抵抗性とは、血糖値を下げるホルモンのインスリンが血中にあっても血糖値が下がりにくくなることで、進行すると糖尿病に至ります。つまり、S100A8を抑えることが、マウスの糖尿病の予防になったと解釈できます。

 

この研究は、肥満から始まる多くの病気に関わっているかもしれません。ここから画期的な治療法が生まれてくるのでしょうか?

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Visualized macrophage dynamics and significance of S100A8 in obese fat.

Proc Natl Acad Sci U S A. 2015 Apr 6

[PMID: 25848057]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。