スチリペントール
脳内での抑制性神経伝達物質であるGABAの作用を高めることで神経の異常な興奮を抑えたり、他のてんかん治療薬の作用を高めることで抗てんかん作用をあらわす薬
スチリペントールの解説
スチリペントールの効果と作用機序
スチリペントールの薬理作用
てんかんは脳内で神経が異常に興奮することなどによっておこり、その症状は全身のこわばりやけいれん、意識の消失、体の一部に症状があらわれるなど多種多様となる。
脳には神経細胞が集積していて、神経伝達物質などの作用により神経細胞が興奮しシグナルが伝わり神経伝達がおこる。抑制性の神経伝達物質にGABA(γ-アミノ酪酸)があり、これがGABA受容体に結合すると抑制性シグナルの塩化物イオン(Clー)が通り道であるClチャネルから流入し、神経興奮が抑制される。またGABAはGABAトランスアミナーゼという酵素により不活性化される。
本剤は神経終末より放出されたGABAの(再び回収される)取り込み阻害作用、GABAトランスアミナーゼの阻害作用、脳組織中のGABA濃度増加作用、GABA受容体(GABAA受容体)による神経伝達の増強作用などにより、神経興奮を抑制し抗てんかん作用をあらわす。また併用のてんかん治療薬(バルプロ酸ナトリウムやクロバザムなど)の血中濃度を高め、その抗痙攣作用を増強させる。
本剤は通常、ドラべ症候群(多くが1歳までに発症する小児てんかんで希少疾患)の治療薬として、先に挙げたバルプロ酸ナトリウム及びクロバザムとの併用療法で使用する(そのほか、フェンフルラミンなどを併用する場合もある)。なお、本剤は2006年以降に承認された第二世代の抗てんかん薬の一つとなる。
スチリペントールの主な副作用や注意点
スチリペントールの一般的な商品とその特徴
ディアコミット
- 服用方法などに関して
- 通常、食事中あるいは食直後に服用する
- 空腹の状態で服用すると、本剤の吸収が低下し作用が減弱する可能性がある
- ドライシロップ剤に関して
- 包装に入れた状態で保存し、服用時に開封し用時懸濁して使用する
- 用時調製の製剤であり、調製後の保存は避ける
- カプセル剤に関して
- ボトル開封後は湿気をさけて保存する