筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬の解説
筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬の効果と作用機序
筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬の薬理作用
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は筋肉を動かす命令を伝える神経が障害をうけることで、筋肉が痩せていき筋力がなくなり最終的に呼吸ができなくなり呼吸困難となる。この疾患の原因は詳細には解明されていないが、神経伝達物質であるグルタミン酸による過剰興奮に基づく運動ニューロン(骨格筋を支配する神経細胞)の変性などが考えられているほか、フリーラジカル(不対電子を有する原子、分子、イオン)という物質の酸化作用による細胞の障害がALSの発症に関わっていると考えられている。またALSの一部には、スーパーオキシドジスムターゼ1(SOD1)という体内で活性酸素(活性酸素の多くはフリーラジカルでもある)を除去する酵素をコード(暗号化)する遺伝子の突然変異によって有害なタンパク質の蓄積がおき運動ニューロンの細胞死及び変性が引き起こされるという病態(SOD1-ALS)がある。
本剤がどのように作用するかは解明されていない部分もあるが、
(1)リルゾール(主な商品名:リルテック)に関しては、グルタミン酸の遊離を阻害する作用やグルタミン酸の受容体であるAMP型やNMDA型といった興奮性アミノ酸受容体への阻害作用などにより、神経細胞の保護作用をあらわすとされている。
(2)エダラボン(商品名:ラジカット)はフリーラジカル消去による脂質過酸化を抑える作用により、神経細胞の酸化的障害を抑制する作用をあらわす。
上記の作用により本剤はALSの進行を遅らせるとされている。
なお、2024年に承認されたメコバラミン製剤(商品名:ロゼバラミン)は、メコバラミン自体が活性型ビタミンB12であり、このビタミンはヒトの生体内でアミノ酸のホモシステインからメチオニンを合成する過程における補酵素として働き、神経変性の修復などに関わるとされている。ホモシステインはALS患者で増加が報告されている物質であり神経変性に関わると考えられていることから、メコバラミン製剤によってALSにおけるホモシステイン誘発細胞死を抑えることで機能障害の進行抑制が期待できるとされる。また、2025年に承認されたトフェルセン製剤(商品名:クアルソディ髄注100mg)は、主に運動ニューロンに有害なSOD1タンパク質の合成量と蓄積量を減少させることでSOD1-ALSの病態進行を遅らせる効果が期待できるとされている。
筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬の主な副作用や注意点
- 過敏症
- 頻度は稀とされる
発疹 などがあらわれる場合がある