大腿骨頚部骨折とはどんな病気なのか? 症状・検査・治療など
大腿骨は太ももの骨です。そして、大腿骨頚部とは大腿骨のうち股関節を構成する部分を指します。大腿骨頚部骨折は高齢者が転倒した際に起こることが多いです。このページでは大腿骨頚部骨折の症状や原因、検査、治療などについて網羅的に説明します。
目次
1. 大腿骨頚部骨折とはどんな病気なのか?
大腿骨の頚部と呼ばれる部分に起こる骨折を大腿骨頚部骨折といいます。大腿骨頚部は股関節を構成しており、ここに骨折が起こると治るまでの間は歩けなくなります。高齢者では、そのまま寝たきりになってしまうことは珍しくありません。

2. 大腿骨頚部骨折の症状について
大腿骨頚部骨折の主な症状は次の2つです。
【主な症状】
- 股関節(足の付け根)の強い痛みや腫れ
- 歩行困難:一人で歩けない
上記は多くの人に見られる症状ですが、注意点があります。
まず、股関節の痛みに関してです。多くの人はかなり激しい痛みだと表現しますが、骨折の程度が軽い人では痛みがそこまで強くはないことがあります。また、大腿骨頚部骨折を起こしやすい高齢者では、認知機能が低下していることが少なくないため、痛みを上手く伝えられず発見が遅れてしまうことがあります。
次に歩行困難についてですが、大腿骨頚部骨折が起こると、ほとんどの人が一人では歩けなくなります。しかし、骨折の程度が軽い場合には歩けることがあるので、「歩けるから折れていない」と考えるのは早計です。
3. 大腿骨頚部骨折の原因について
大腿骨頚部骨折のほとんどは外からの衝撃(転倒など)をきっかけとして起こります。 特に、骨粗鬆症(骨密度が減少して骨が脆くなる病気)の持病がある人に多い傾向があり、そうした背景を持つ人では、軽い衝撃でも骨折してしまいます。骨粗鬆症は高齢女性に多い病気です(「こちらのページ」でも詳しく説明しています)。そのため、大腿骨頚部骨折も高齢女性に多い傾向があります。 もちろん、骨が丈夫な人でも、交通事故や転落などでかなり強い力が加わった場合には大腿骨頚部骨折が起こることがありますが、高齢女性に比べるとその数はかなり少ないです。
4. 大腿骨頚部骨折の検査について
大腿骨頚部骨折が疑われる人には次のような診察や検査が行われます。
【大腿骨頚部骨折の診察・検査】
問診 - 身体診察
- 画像検査
レントゲン 検査(X線検査 )MRI 検査CT 検査
どの診察や検査も重要ではありますが、特にレントゲン検査が診断の決め手になることが多いです。レントゲン検査では骨折の有無だけではなく、骨がどの程度ずれているかを知ることができるので、適した治療を選ぶための判断材料になります。
大腿骨頚部骨折の検査について詳しくは「こちらのページ」を参考にしてください。
5. 大腿骨頚部骨折の治療について
大腿骨頚部骨折の主な治療法は次の3つです。
【大腿骨頚部骨折の治療法】
- 手術
保存療法 - リハビリテーション
基本的には手術が行われます。手術にはいくつか方法があり、骨折の程度や年齢などから総合的に適した方法が選ばれます。 一方で、手術をしない治療もあり、保存療法と言います。端的に言うと、自然に骨がくっつくのを待つ治療です。骨がきれいにつくように、足を固定して安静に過ごします。「骨折の程度がひどくない」「認知症がない」などのいくつかの条件を満たす場合に選ぶことができます。
リハビリテーションとはいわゆる「リハビリ」のことです。関節の動きを滑らかにしたり、筋力の維持などさまざまな目的があります。手術後または保存療法開始後からリハビリテーションが始まります。日常生活にどれだけ早く復帰できるかはリハビリテーションにかかっているとも言えます。
治療の個別の内容については「こちらのページ」で説明しているので参考にしてください。
6. 大腿骨頚部骨折で知ってほしいこと
大腿骨頚部骨折を起こした人は、反対側の足にも頚部骨折が起こりやすくなることが分かっています。両足に頚部骨折が起こると、日常生活への影響が大きくなり生活の質が低下することが懸念されます。ぜひとも健側(骨折をしていない側)の骨折は避けたいものです。そこで、最後に大腿骨頚部骨折の予防について説明していきます。
骨粗しょう症の治療する
骨粗しょう症とは骨密度が減少し、骨がもろくなる病気です。骨折する危険性が高まります。実際、大腿骨頚部骨折を経験した人の多くに骨粗しょう症が存在していたことが分かっています。
骨粗しょう症の治療は薬物療法や運動療法、食事療法など多岐に渡り、これらが大腿骨頚部骨折の予防にもつながります。「こちらのページ」で詳しく説明しているので、参考にしてください。
転倒しにくい環境づくり
大腿骨頚部骨折は転倒をきっかけに起こりがちです。住居内で起こることが少なくなく、転びにくい住環境を整えることが有効な予防法です。
【転倒予防の取り組み例】
- 階段・段差に手すりをつける
- スロープを設置する
- 電化製品のコードが露出しないようにする
- 浴室の床に滑りどめマットを敷く
- トイレを洋式にし、手すりをつける
普段は気づきづらいのですが、住居には転倒リスクがある場所が少なくありません。また、暗い場所ではつまずきやすくなるので、部屋の照明を明るくするといったちょっとしたことでも効果があります。 「転ばぬ先の杖」という言葉もあるように、これを機に転倒予防の視点から住環境を見直してみてください。
参考文献
日本整形外科学会