大腿骨頚部骨折の治療について:手術、保存療法、リハビリテーション
大腿骨頚部骨折の治療は基本的に手術です。折れた骨をピンやプレートで固定する方法と、折れた骨を人工物に置き換える方法があります。手術をしない選択をすることも可能ですが、骨折の程度がひどくない場合に限られます。また、日常生活への復帰にはリハビリテーションが重要です。
1. 大腿骨頚部骨折の治療はどのようなものがあるのか
大腿骨頚部骨折の治療法には以下のものがあります。
【大腿骨頚部骨折の治療】
- 手術
- 骨接合術
- 人工物置換術
- 人工骨頭置換術
- 全人工股関節置換術
保存療法 - リハビリテーション
多くの場合、手術が必要になります。手術にはいくつか方法があり、骨折の状態や年齢などの条件から適した方法を選びます。なお、手術を行うタイミングは、「できるだけ早いほうが望ましい」と考えられています。 手術をしない治療法を保存療法といいます。選べる人は多くはありませんが、折れた骨のずれが軽い場合には検討することができます。また、日常生活に戻るためには、リハビリテーションが重要な役割を果たします。手術を選んでも保存療法を選んでもリハビリテーションが必要です。
次に、それぞれの治療について詳しく説明していきます。
2. 手術
股関節では、球のような形をした大腿骨(太ももの骨)の一部(骨頭)が、骨盤側(寛骨臼)にすっぽりはまり込んでいます。骨頭の存在によって、前後左右に足が自由に動きます。

大腿骨頚部骨折が起こると、骨頭と大腿骨が分離してしまいます。分離の程度がひどくなければ、骨接合術で治療が可能です。一方で、分離の程度がひどい場合には、骨頭を取り除いて、人工物に変える必要があります。骨頭を人工部に変える方法を人工物置換術といい、主に「人工骨頭置換術」と「全人工股関節置換術」の2つがあります。
骨接合術
骨接合術は骨折している部分を金属などの部品(釘やプレード)でつなぎ合わせて固定します。

後述する人工物置換術より、手術時間が短く、出血量が少なくて済みます。身体への負担が軽いのが骨接合術のメリットです。一方で、骨がくっつききらなかったり(偽関節)、骨が
人工物置換術(関節を人工物に置き換える手術):人工骨頭置換術と全人工股関節置換術
人工物置換術は骨折の程度が重い場合に行われることが多いです。主な方法には人工骨頭置換術と全人工関節置換術の2つがあります。
■人工骨頭置換術
人工骨頭置換術では、骨頭を取り除いて、金属やセラミックでできた人工の骨頭を埋め込みます。 人工物に入れ替えるのは大腿骨だけで、骨盤(寛骨臼)はそのままの状態です。骨接合術に比べると手術時間が長く、出血量も多い傾向があるので、身体への負担は大きいと考えられています。 大腿骨だけに問題がある場合には、こちらの人工骨頭置換術が選ばれます。一方で、骨盤側にも問題がある場合には、次の全人工股関節置換術が選ばれます。
■全人工股関節置換術(THA)
足側の骨だけを人工物に取り替える人工骨頭置換術に対して、全人工股関節置換術では骨盤側(寛骨臼)にも骨頭の受け皿となる人工物を埋め込みます。治療する範囲が人工骨頭置換術に比べて多いので、身体への負担が人工骨頭置換術より大きくなる傾向があります。

3. 保存療法
保存療法は手術をせずに自然に骨がくっつくのを待つ治療です。具体的には、骨がずれるのを予防するために足を固定し、骨の
4. リハビリテーション
リハビリテーションとはいわゆるリハビリのことです。大腿骨頚部骨折後の社会復帰には、リハビリテーションを上手にやり遂げることが重要です。 手術直後からリハビリテーションが始まります。まずはベッド上に座ることから始め、立つ練習、歩く練習と続いていきます。手術直後は傷も痛みますし、リハビリテーション自体がかなり大変なのですが、早期から取り組むのには、足腰の筋力を衰えさせないという狙いがあります。
大腿骨頚部骨折の入院期間はおおよそ1ヶ月程度です。その間に自宅での生活がこなせるところまでになるのが一つの目標です。退院後もリハビリテーションは続き、その期間は半年程度です。
参考文献
伊藤利之, 大橋 正洋, 千田富義, 永田 雅章/編集, 標準リハビリテーション医学, 2012, 医学書院
日本整形外科学会