たひしょうこうぐん
多脾症候群
生まれつき脾臓が2つ以上形成されている状態。先天性心疾患を併発することが多い
6人の医師がチェック 34回の改訂 最終更新: 2018.10.12

多脾症候群の基礎知識

POINT 多脾症候群とは

1つしかない脾臓が生まれつき2つ以上あることです。脾臓が多いだけではなく、心臓や肺、胃、腸などに先天異常をともなうことがあります。脾臓が2つ以上あることの影響はほとんどなく、その他の臓器の先天異常の治療が主体になります。 多脾症候群の子どもの治療は小児科や小児外科で行われます。

多脾症候群について

  • 生まれつき脾臓が2つ以上形成されている状態
    • 通常、脾臓は体の左側(胃の隣)に1つだけ出来る
  • 遺伝子異常が原因となる
    • 10,000-20,000人に1人の頻度で発生する
  • 脾臓だけでなく、心血管系や消化管の先天異常を合併することがしばしばある
  • 難病に指定されおり、申請を行えば症状の進行具合によって医療費の補助を受けることができる

多脾症候群の症状

  • 脾臓が多いことそのものによる症状はない
  • 先天性心疾患を併発することが多く、それによる症状が生じる

多脾症候群の検査・診断

  • 画像検査を行って異常な所見がないかを確認する
    • レントゲン検査
      • 肺が分葉(区域に分かれていない状態)していない
      • 心臓が大きくなっている
    • CT検査
      • 肺の様子を詳しく調べる
  • 心電図検査
    • 徐脈、房室解離といった異常所見を確認する
  • 心臓超音波検査
    • 心臓や血管の異常がないかを確認する
      • 下大静脈欠損兼奇静脈結合が特徴的
  • 心臓カテーテル検査
    • 造影剤を用いてより詳しく心臓や血管の構造を調べることができる
      • 心房造影による心耳形態(両側左心耳構造)がないかを確認する
      • 肺動脈造影により肺動脈と気管支の位置関係に異常がないかを確認する

多脾症候群の治療法

  • 多脾そのものに対する治療は行う必要はない
  • 脾臓の機能が完全でないと感染症にかかりやすくなることがある
    • 予防接種や手洗いうがいと言った感染の予防を徹底する
  • 先天性心疾患によっては手術を行う
    • 軽症なものの場合には、心疾患自体が成人になるまで無症状であるようなものもある