じんじょうせいぎょりんせん
尋常性魚鱗癬
皮膚が硬くなったり、うろこのようなかさつきが全身にできる遺伝性の皮膚の病気
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最終更新: 2022.03.25
尋常性魚鱗癬の基礎知識
POINT 尋常性魚鱗癬とは
皮膚が硬くなったり、うろこのようなかさつきが全身に現れる病気です。尋常性魚鱗癬は遺伝性の病気で、10歳くらいまで症状が進行していきます。全身が皮膚が固くなり、ぽろぽろと剥がれたりひび割れたりします。診断のための検査は必要ではなく、家族に同じ症状の人がいるかどうかなどが調べられます。根本的な治療は確立されておらず、症状を和らげるために保湿剤や軟膏が使われます。尋常性魚鱗癬が心配な人は皮膚科を受診してください。
尋常性魚鱗癬について
- 皮膚が硬くなり、うろこのようなかさつきが全身にできる皮膚の病気
- 皮膚の保湿に必要なたんぱく質をつくる遺伝子の異常
- 遺伝形式は
常染色体優性遺伝 である
- 生まれた時は無症状で、乳幼児期から10歳くらいまで症状が進むことが多い
- たいていの場合は青年期や成人するにつれて症状は軽快していく
- 皮膚のフィラグリンというタンパク質が減少することで起こる
尋常性魚鱗癬の症状
- 全身の皮膚がうろこ状になりかたくなる
- 硬くなった皮膚はぽろぽろと剥がれたりひび割れたりする
- 特に背中や肘や膝の外側によくみられる
- 痒みがでることはあるが、自覚症状は少ないことが多い
- 生後2か月位から
発症 し、多くは成長とともに症状が和らぐ
尋常性魚鱗癬の検査・診断
- 基本的には特別な検査は行われず、
問診 と診察結果から診断される常染色体優性遺伝 であるので家族に同じ病気の人がいた場合は診断が確定的である
尋常性魚鱗癬の治療法
対症療法 として、乾燥を防ぐための外用剤を塗る- 5%サリチル酸ワセリン
- 尿素軟膏(保湿剤)
- 活性化
ビタミンD 軟膏 など
尋常性魚鱗癬に関連する治療薬
ビタミンA製剤
- ビタミンAを補うことで夜盲症(鳥目)や皮膚の乾燥などを改善する薬
- ビタミンAは脂溶性(脂に溶けやすい性質)のビタミン
- ビタミンAが目の感受性を維持し、夜盲症などに効果が期待できる
- ビタミンAは皮膚や粘膜などを正常に保ち乾燥などから守る作用がある
活性型ビタミンD3製剤(外用塗布薬)
- 乾癬の症状が出ている皮膚の細胞増殖を抑え、皮膚の赤みや盛りあがり、かさぶたが剥がれ落ちるなどの症状を和らげる薬
- 乾癬では免疫異常などにより、皮膚の赤みや角質層が厚くなるなどの皮膚症状があらわれる
- 乾癬の皮膚症状は表皮の過剰増殖や体内の炎症物質などによっておこるとされる
- 本剤は活性型のビタミンD3製剤であり、皮膚の過剰な細胞増殖や炎症などを抑える作用をあらわす
- 乾癬の他、魚鱗癬や掌蹠膿疱症などに使用する製剤もある
エトレチナート製剤
- ビタミンAと類似した化学構造をもち、皮膚や粘膜を正常に保つ作用などにより皮膚角化異常症などを改善する薬
- 乾癬や魚鱗癬などの皮膚角化異常症は免疫異常などによっておこるとされている
- ビタミンAによる皮膚や粘膜を正常に保つ作用により乾癬などの皮膚角化異常症における改善効果が確認されている
- 本剤はビタミンAと類似した化学構造を持つレチノイドいう物質の一つで皮膚角化異常症などへの改善作用をあらわす