Beta 前十字靭帯損傷のQ&A
前十字靭帯損傷の原因、メカニズムについて教えて下さい。
前十字靭帯とは、膝にある靭帯で、大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)の前側をつなぐ靭帯です。前十字靭帯損傷は、スポーツを行っているときに受傷しやすく、急に方向転換する動作や、着地動作、ストップ動作によって生じることが多いです。その他にも、直接膝に外力が加わって受傷する場合もあります。
前十字靭帯損傷が発症しやすくなる、または前十字靭帯損傷の人が他に注意すべき病気
前十字靭帯損傷は、男性に比べ女性の方が2~3倍なりやすいといわれています。また、発症しやすい人の特徴として、週4日以上スポーツする人や、関節が過度にやわらかく、膝関節が過伸展している人などが報告されています。
前十字靭帯損傷は、遺伝する病気ですか?
前十字靭帯損傷は遺伝する病気ではありません。しかしながら、前十字靭帯損傷の人が家族にいると起こりやすいという報告もあり、3親等以内の家族が前十字靭帯損傷を受傷したことがある場合は、受傷しやすいとされています。
前十字靭帯損傷は、どんな症状で発症するのですか?
前十字靭帯損傷は、急に膝の力が抜けたような感じがして、膝に力が入らなり、歩くことが難しくなります。このとき、「ボキッ」という音がする場合もあります。膝が腫れて、痛みを伴い動かしにくくなります。
前十字靭帯損傷の、その他の症状について教えて下さい。
スポーツをするような活発な人は、少し休んだ後、受診をせずにそのままスポーツを続ける人もいます。数週間休めば、歩けるようにはなりますが、放置しておくと、スポーツをしている際に、膝くずれ(膝がガクッと外れるような感じ)を起こしたり、膝くずれを繰り返すことで、他の膝の靭帯や半月板を痛めてしまうことがあります。また、膝がひっかかり、伸びにくくなることもあります。無理をせず、早めに受診することが大切です。
前十字靭帯損傷は、どのように診断するのですか?
医師による問診と徒手検査からスクリーニングを行います。徒手検査は、ラックマンテストといって、膝を軽く曲げた状態で、検査者が脛骨(すねの骨)を前方に引き出します。前十字靭帯が損傷していると、脛骨が過剰に前に引っ張られます。他には、MRI検査を行います。X線(レントゲン)検査では、靭帯はうつらないので、診断には用いません。
前十字靭帯損傷の治療法について教えて下さい。
治療方法は主に保存療法と手術療法の二つがあります。前十字靭帯損傷は、保存療法では修復されにくいため、年齢や活動性、関節の不安定性によって、手術をするか決めます。成長期や思春期では、保存療法で経過をみても、経過が悪いという報告もあるため、若年者では手術を選択する場合が多いです。また、よくスポーツをする人や、膝関節が不安定である場合も手術を選択します。高齢で、普段の生活に問題がない程度であれば、保存療法を選択する場合が多いです。
前十字靭帯損傷では入院が必要ですか?通院はどの程度必要ですか?
手術をする場合は、入院が必要です。日帰りで手術することも可能ですが、術後1週間ほど入院する場合もあります。手術をして、再建した腱と骨がくっつくには3か月程かかるとも言われています。しかし、まだ完全ではないため、術後6か月ほどでスポーツに復帰する場合が多いです。
前十字靭帯損傷後は、スポーツへ復帰できますか?
保存療法の場合、ジョギング程度の軽い運動であれば、復帰しやすいとされています。しかし、バスケットボールやサッカーなど、激しいスポーツの場合は、保存療法では困難とされています。手術した場合も、完全に復帰するまでには術後6か月以上かかるといわれています。復帰したいスポーツも含めて、医師と相談し、治療を決めることが必要です。
前十字靭帯損傷後、リハビリは必要ですか?
専門の指導者により、計画的にリハビリを行った場合、自主練習をした場合と比べ、膝の筋力や膝の機能が改善したという報告があります。また、手術した場合も、早期に関節を動かしたり、徐々に荷重練習を行ったりしながら、歩く練習をしていく必要があります。医師と相談し、リハビリを行うか決めましょう。