どうぶつこうしょう
動物咬傷
動物によって噛まれた傷や、噛まれたことによって起こる感染症を指す
9人の医師がチェック 90回の改訂 最終更新: 2022.05.09

Beta 動物咬傷のQ&A

    動物咬傷に関して、狂犬病ワクチンは必要ないのでしょうか?

    日本国内で起きた動物咬傷では、1957年以降狂犬病の発生報告はありませんので、一般的には狂犬病ワクチンの接種は必要ありません。ただし、密輸された動物の場合は、病原体の検査やワクチン接種が厳重にされていない可能性があるので注意が必要となります。また、国外では狂犬病は広く存在しますので、海外旅行先での動物咬傷では狂犬病ワクチンの接種が必要になるかと思われます。

    動物咬傷に関して、動物に咬まれた時は、すぐに医療機関を受診したほうがよいのでしょうか?

    傷口の感染を予防するためにも、早期に受診することをお薦めします。時間が経つと、傷口が自然に閉鎖してしまい、洗浄効果が不十分になる場合があります。

    動物咬傷に関して、動物でなく人に咬まれた時でも、傷口が感染することがありますか?

     傷口の感染の起きやすさは、一般的には咬んだ動物が「猫>人>犬」の順におきやすいと言われています。
     「人に咬まれる」のは、喧嘩などで相手を拳で殴った時に、相手の歯があたることによりおきることが多く、指の関節に損傷がおこるので感染や合併症がおきやすいと考えられます。

    動物咬傷に関して、猫に咬まれましたが、傷口はとても小さいので様子をみても大丈夫でしょうか?

    猫の牙は細く鋭いので、傷口は小さいのですが深いことがあります。猫の唾液には、咬まれて24時間ほどで傷口が赤く腫れあがってしまう細菌がいますので、医療機関で傷口の処置と抗菌薬の投与を受けることが望ましいと考えられています。

    動物咬傷に関して、傷口が感染するとどのような症状がでますか?

    傷口を中心として、赤く腫れてきて、熱感と痛みが伴ってきます。ただし、傷口が治る過程で「炎症反応」が起きますので、細菌による感染が合併していない場合でも多少は同様の症状をしめすことがあります。

    動物咬傷に関して、傷口の感染は、動物に咬まれてから何日目頃にあらわれますか?

    一般的な細菌によるものの場合、3-5日頃に上記症状が現れることが多いのです。しかし、猫咬傷の場合は、咬まれて24時間ほどで感染症が発症してくる細菌感染があります。また、人咬傷の場合は、咬まれて1週間ほどしてから感染症が発症してくる細菌感染もあります。

    動物咬傷ではどのような検査を行いますか?

    基本的には検査は不要です。咬まれた部位を診察することで診断します。しかし、感染が進行し、血流にのり全身に広がってしまったと考えられる場合には、血液検査を行い、炎症の値を調べることもあります。また咬まれた傷が深く、骨折や軟部組織の損傷が疑われる場合には、画像検査を行うこともあります。

    動物咬傷に関して、傷口が感染した場合、どのような治療が必要になりますか?

    まず傷口内部に溜まった膿を出すことが重要となります。局所麻酔にて鎮痛のうえ傷口をもう一度開き、きれいに洗浄し処置をおこないます。抗菌薬を服用したり点滴で投与し、細菌感染を治療していきます。

    動物咬傷に関して、医療機関ではどのような処置がされるのでしょうか?

    傷口の状態により処置の方法は変わりますが、基本は大量の水で洗浄することとなります。動物咬傷の傷口は、縫合すると細菌が傷口の奥深くに残り、感染を起こしやすいこともあり、縫合せずに自然に傷口が閉鎖していくように治療することも多く行われます。

    動物咬傷に関して、医療機関では傷口の処置以外にどのような治療がされるのでしょうか?

    破傷風の予防と一般の細菌感染に対する予防の必要性について、傷口の状態とケガをされた方の状態(基礎疾患・破傷風予防注射歴)により判断されます。

    動物咬傷に関して、医療機関を受診後の傷口の処置はどのようにすればよいのでしょうか?

    動物咬傷の傷口の処置は、個々の状態によって大きく変わってきますので、担当医師にお聞きください。

    動物咬傷に関して、自分でできる処置はありますか?

    傷口の感染を予防するために、なるべく早く大量の水道水で傷口を洗ってください。滅菌された水を使う必要はありません。消毒剤を使う必要もありません。多少の出血よりも洗い流すことを優先してください。 傷口から出血があるようでしたら、ティッシュペーパーやハンカチなどで圧迫をしてください。輪ゴムや紐で手足をきつく縛り、血液の流れを止めることはおやめください。

    動物咬傷を予防するために、子供たちに伝えるべきことは何ですか?

    犬への接し方については以下のように述べられています。

     ・普段見かけない犬には接しないこと
     ・えさを食べているとき、寝ているとき、子犬を扱っているときの犬には近づいてはいけない
     ・犬と遊ぶときは必ず大人と一緒に
     ・まず自分のにおいを嗅がせてから、犬に触るようにする
     ・ペットは必ず予防接種をしておく
     ・ペット同士の喧嘩に割って入らない
     ・知らない犬が近づいてきたら、急に走ったり大声を出さない
     ・知らない犬が近づいてきたら、目をあわさないようにする