心挫傷(鈍的心損傷)の基礎知識
POINT 心挫傷(鈍的心損傷)とは
心臓に強い衝撃が加わることが原因で、心臓の筋肉が壊死したり、出血、不整脈が起こる病気のことです。主な原因として胸への強い衝撃や事故によって心臓が周囲の組織と衝突することで起こります。心挫傷が起こると、胸の強い痛みや胸が締め付けられるような感覚、不整脈を伴うことがあります。心挫傷が疑われる人には心電図や血液検査、レントゲン検査、超音波検査、カテーテル検査によって心臓の状態が詳しく調べられます。程度が軽ければ、経過観察を行うことが多いですが、ダメージが重い場合には手術が検討されることがあります。心挫傷は救急救命科や心臓血管外科で治療が行われます。
心挫傷(鈍的心損傷)について
心挫傷(鈍的心損傷)の症状
心挫傷(鈍的心損傷)の検査・診断
心電図 :心臓を動かす電気信号に異常がないかを調べる- 最初に行われる基本的な検査
- 血液検査:心臓の細胞の障害の程度を調べる
胸部レントゲン 検査:心臓の大きさに変化がないか調べる心臓超音波検査 :心臓の動きやその周囲の組織の様子を調べる冠動脈造影検査 :心カテーテルを使って、心臓の状態を調べる- 原因不明の場合に行われることがある
心挫傷(鈍的心損傷)の治療法
心挫傷(鈍的心損傷)の経過と病院探しのポイント
心挫傷(鈍的心損傷)が心配な方
心挫傷は、胸部に強い打撃を受けたときに心臓に生じる外傷です。心挫傷が生じるときには胸の表面の強い打撲による痛みもありますので、ご自身の症状が心挫傷かもしれないと感じられるようなことはまれでしょう。典型的には、交通事故後で心臓の自覚症状は何もなかったにもかかわらず、心電図検査を受けてみると不整脈が見つかり、心挫傷によるものと診断されるというものです。
このような場合の大半は自然の経過で改善が見込めます。不整脈は自然と出なくなりますので、入院の上でその経過をみていくということだけで、特別な治療は行われません。一方で、重症の場合には不整脈が止まらなくなったり、心臓の壁に傷ができて心タンポナーデと呼ばれる状態に陥ったりすることがあります。このような場合には、循環器内科や心臓血管外科の医師による専門的な治療が必要です。具体的には、同期下カルディオバージョン(AEDのような機械で不整脈を止める処置)、心のう穿刺(心臓の膜に針を刺して余分な血液を出す)、心臓カテーテル(手足の血管から心臓までワイヤーを通して検査・治療を行う)といった手段があります。
心挫傷については、診断がつき次第その場で治療が開始されますし、病状に応じて治療の方法も自然と決まってしまうため、どこでどのような治療を受けるか迷う余地は少ない疾患であると言えます。