ぼうしつちゅうかくけっそんしょう(しんないまくしょうけっそんしょう)
房室中隔欠損症(心内膜床欠損症)
心内膜床(心臓の中心部分の壁)が欠損する先天性心疾患の1つ。肺高血圧症などを起こす
6人の医師がチェック 80回の改訂 最終更新: 2019.10.03

房室中隔欠損症(心内膜床欠損症)の基礎知識

POINT 房室中隔欠損症(心内膜床欠損症)とは

房室中隔欠損症は心臓の4つの部屋(右心房、右心室、左心房、左心室)を隔てる壁の一部が不完全になっている病気です。心不全や肺高血圧症を起こすことが多く、治療しないと時間とともに状態は悪化します。主な症状は息切れ・苦しそうに息をする・ミルクを吸う量が少ない・体重が増えない・顔色が悪いなどになります。 症状や身体診察に加えて、心臓エコー検査や心臓カテーテル検査などを用いて診断します。根治するための治療は手術になりますが、状態を鑑みて薬物治療を行いながら様子を見る場合もあります。房室中隔欠損症が心配な人や治療したい人は、小児科・小児外科・循環器内科を受診して下さい。

房室中隔欠損症(心内膜床欠損症)について

  • 左右の心房、左右の心室がうまく形成されない先天性心疾患の1つ
  • 「完全型」と「不完全型」の2つに分類される
    • 完全型:心房間、心室間の両方に欠損孔がある
    • 不完全型:心房間のみに欠損孔がある(一次孔欠損型の心房中隔欠損と呼ばれることがある)
  • 心房と心室の間にある弁(房室弁)の形態に異常があり、逆流を伴うことがある
  • 先天性心疾患の約5%を占める
    • ダウン症(21トリソミー)の子供の15-20%ほどに起こる

房室中隔欠損症(心内膜床欠損症)の症状

  • 完全型:心臓や肺への負担が大きく、放っておくと乳児期早期に肺高血圧症心不全を起こすことが多い
  • 不完全型:完全型に比べると 心不全症状が出る時期は遅い
  • 主な症状
    • 苦しそうに息をする
    • ミルクを吸う量が少ない
    • 体重が増えない
    • 顔色が悪い   など

房室中隔欠損症(心内膜床欠損症)の検査・診断

  • 画像検査:心臓の状態を調べる
    • 胸部レントゲン検査(X線写真):心臓の大きさや肺血管のうっ血の程度を調べる
    • 心臓超音波検査:心臓の動きや形、逆流の程度を調べる
  • 冠動脈造影検査
    • 心臓カテーテル検査:造影剤を用いて心内膜床の状態を詳しく調べる
      • 心臓カテーテル検査の結果を踏まえて治療の要否や治療法が検討される

房室中隔欠損症(心内膜床欠損症)の治療法

  • 根治するためには手術が必要である
    • 心内修復術:心臓をわけている壁を作る
    • 弁形成術:心臓の中にある弁(心臓の中で逆流が起きないようにするため)をつくる
    • 肺動脈絞扼術(肺動脈バンディング):症状が重い場合、肺や心臓への負担を軽減するために行う手術
      • この場合は段階的手術となり、成長してから再度手術を行う必要がある
  • 必要に応じて心不全に対する治療(利尿薬、強心薬など)を行う

房室中隔欠損症(心内膜床欠損症)が含まれる病気

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房室中隔欠損症(心内膜床欠損症)に関わるからだの部位