じんのうよう
腎膿瘍
腎臓の中またはその周囲に膿がたまった状態。細菌感染が主な原因となる。
5人の医師がチェック 106回の改訂 最終更新: 2022.05.30

腎膿瘍の基礎知識

POINT 腎膿瘍とは

腎臓内や腎周囲に膿瘍(膿の溜まり)ができる病気です。主な症状は、発熱・寒気・背中や腰の痛み・倦怠感(体のだるさ)などです。血液検査や尿検査、画像検査(エコー検査、CT検査)を行い診断します。治療には抗菌薬を用いますが、膿が大きい場合や、抗菌薬治療がなかなかうまくいかない場合は、針を刺して膿を身体の外に出す処置を行います。腎膿瘍の治療は泌尿器科や感染症内科で行われます。

腎膿瘍について

  • 腎臓の中にがたまった状態
    • 腎実質膿瘍:腎臓の組織内に膿瘍のあるパターン
    • 腎周囲膿瘍:腎臓の周囲に膿瘍のあるパターン
  • 主な原因
    • 体の他の部位に感染した細菌が、血液に乗って腎臓に運ばれて感染(血行性感染)
    • 尿路感染症腎盂腎炎)が進み膿が溜まる
    • 腎臓の手術後に感染が起こる

腎膿瘍の症状

  • 主な症状
    • 熱が出る
    • 悪寒(寒気がする)
    • 背中の痛み
    • わき腹の痛み
    • 体重が減る
    • 体がだるい、疲れやすい
    • 背中を押すと痛い
  • 腎髄質膿瘍の場合は、尿路感染症状(頻尿など)が現れる

腎膿瘍の検査・診断

  • 血液検査:炎症の程度を調べる
  • 細菌検査:血液から原因となる菌を調べる
  • 尿検査:尿(白血球が混ざり濁った尿)の有無を調べる
  • 画像検査:膿瘍の有無を調べる
    • 腹部超音波検査:膿瘍の有無や大きさを調べる
    • 腹部CT検査:膿瘍の大きさや位置を調べる

腎膿瘍の治療法

  • 膿瘍が小さい場合
    • 抗菌薬細菌を抑える薬)の使用
      • ペニシリン系抗菌薬、セフェム系抗菌薬、アミノグリコシド系抗菌薬など
      • 一般的な感染症よりも長期的に抗菌薬を使い続ける必要がある
  • 膿瘍が大きくて穿刺排液のできる場合
    • 穿刺ドレナージ(皮膚から腎臓へ細い管を刺し膿瘍を取り出す)
  • 重症の場合
    • 腎摘出術(腎臓を取り出す手術)を行わざるをえないこともある
      • 特に膿瘍が全く治らずに腎臓の機能も廃絶しかかっている場合に行う

腎膿瘍の経過と病院探しのポイント

腎膿瘍が心配な方

腎膿瘍の診療は入院を必要とすることが多いので、入院が可能な医療機関を受診した方がよいかもしれません。泌尿器科や感染症内科が協力して診療を行います。

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