耳硬化症の基礎知識
POINT 耳硬化症とは
耳硬化症は、耳の奥にある音を伝える骨(耳小骨)の動きが悪くなる病気です。女性に多く、思春期に発症し、両耳に同じ程度の難聴が起こります。症状は耳の聞こえづらさ、耳鳴り、耳のつまる感覚などがあります。症状の進行は遅いですが、妊娠によって症状が急激に悪化することがあります。診断には、聴力検査、鼓膜の動きや、耳小骨の動きをはかる検査を行います。この検査で耳硬化症が疑われた場合は、耳のCT検査を追加で行います。治療は、まずは定期的な聴力検査を行い、難聴が進行した場合は、手術を行ったり、補聴器を使用します。
耳硬化症について
耳硬化症の症状
- 主な症状
- 耳鳴り
- 難聴
- 耳閉塞感
- めまい
- 両耳で同じ症状が出ることが多い
- 片耳だけの場合や、両耳の症状の程度が異なる場合もある
- 病気が
内耳 まで広がるとめまいが出る
耳硬化症の検査・診断
聴力検査 - 音の聞き取りの検査:聴こえの程度を調べる
- 言葉の聞き取りの検査:実際の言葉の聞き取りの程度を調べる
ティンパノメトリー 検査:鼓膜の動きを測定する- アブミ骨筋反射:アブミ骨の動きを測定する
CT 検査:鼓膜の奥の状態を調べる
耳硬化症の治療法
耳硬化症の経過と病院探しのポイント
耳硬化症が心配な方
耳硬化症は難聴を起こす病気です。耳の奥で音を伝える骨の動きが悪くなることが原因で起こります。特徴としては、耳の聞こえづらさ、耳鳴り、耳が詰まる感覚があり、両耳に起こることが多いです。進行するとめまいを生じることもあります。このような症状が続いた場合は、医師に相談しましょう。
ご自身が耳硬化症でないかと心配になった時、最初に受診するのは耳鼻科が適しています。めまいが強く、歩くことが難しければ、救急車を呼ぶこともあるでしょう。その場合、まず救急科での診察になりますが、耳硬化症やその他のめまいを起こす耳鼻科疾患を疑われた場合、当日または後日に、改めて耳鼻科を受診する必要があります。
めまいが出ていない状況であり、歩くことが可能であれば、まずはお近くの耳鼻科クリニックを受診するとより待ち時間が少なく受診できるでしょう。
耳硬化症の診断のためには、聴力検査・鼓膜の動きを測るティンパノメトリー・頭部CTを行います。聴力検査・ティンパノメトリーはクリニックでも実施できるところが多く、また頭部CTを持っていないクリニックであっても、必要と判断されれば、他施設での撮影の手続きをとってもらうことができます。
耳硬化症でお困りの方
耳硬化症の根本治療は手術です。症状の原因となる、耳の中の固くなった骨を摘出する手術を行います。耳硬化症による難聴は、手術で劇的な聴力が改善する数少ない難聴のひとつと言われており、進行例では、基本的に手術をすることが勧められます。
難聴が進行する前の段階であれば、耳の中の骨が固くなるのを防ぐ作用の薬の内服を行うこともあります。また、手術を行わない場合は、補聴器の使用も選択肢の一つです。
耳硬化症の手術は総合病院の耳鼻科で行われることが多くありますが、通院しているクリニックから紹介するシステムがありますので、耳硬化症の初期段階から、必ずしも総合病院を受診する必要はありません。
耳硬化症の方で、聞こえない音が多くなったなどの難聴の進行が疑われる場合は、速やかにかかりつけの耳鼻科に相談されて下さい。