いんけいがん
陰茎がん
陰茎にできるがん。稀な病気。
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最終更新: 2022.02.09
陰茎がんの基礎知識
POINT 陰茎がんとは
陰茎(ペニス)にできるがんのことです。陰茎に徐々に大きくなるできものが現れます。人に相談しにくい場所にできるため、発見時にはかなり進行していることも珍しくはありません。進行すると悪臭を放ち、血が混じった膿のようなものが出ることがあります。また足の付根のリンパ節に転移しやすいことが知られており、その影響で足がむくみます。診断は病気の部分を一部とってきて顕微鏡でみることによって確定されます。転移の有無の確認のために画像検査(CT検査、MRI検査など)を行い治療法が決められます。主な治療法は手術であり、陰茎を半分切除する陰茎部分切除術もしくは陰茎を全て切除する陰茎全摘除術を行います。またがんが転移している場合には抗がん剤や放射線治療を行うことがあります。陰茎がんが心配な人は泌尿器科を受診して調べてもらってください。
陰茎がんについて
- 陰茎(ペニス)の皮膚に発生する極めてまれな
がん - 主な原因
ヒトパピローマウイルス (HPV )感染の関与(性感染症 )- 喫煙(非喫煙者の2.8~4.5倍高い)
- 包茎(近年は必ずしも関係しないのではないかと考えられている)
- 人口10万人当たり0.2人程度の発生頻度
- 男性の
悪性腫瘍 のなかで0.5%未満 発症 年齢は60歳代に最も多い
- 男性の
陰茎がんの症状
- 主な症状
- 初期の段階では、痛みは伴わない
がん はまず陰茎の皮膚から発生する(おできのようなもの)- 進行すると尿道を狭くするため、排尿しにくくなる
- がんが大きくなると
潰瘍 ができたり、出血することがある - 太ももの付け根のリンパの腫れ
- 足の
むくみ
陰茎がんの検査・診断
- 主に診察(視診、触診)の段階で診断がつく
- 顕微鏡検査:
病変 部をからはがれた細胞や病変部の一部を生検 して顕微鏡で検査 - その他の検査
リンパ節 の触診:鼠径部が最も転移 しやすいため- 画像検査:他の臓器に転移がないかを確かめる
胸部レントゲン 検査(X線 写真)- 腹部の
CT 検査 超音波検査 - MRI
- 進行の度合いから
病期 (ステージ )を決める- 陰茎での
がん の広がり リンパ節転移 の有無、広がり- 他の臓器への転移(
遠隔転移 )の有無
- 陰茎での
- 尖圭コンジローマと陰茎がんは見た目で似ている場合がある
陰茎がんの治療法
- 主な治療法は手術
- 必要に応じて
放射線療法 、化学療法 を組み合わせる
- 必要に応じて
- 手術
遠隔転移 がなければ手術を検討する- 手術後、性交が難しくなるため人工的な陰茎を形成する手術が行われることもある
- 放射線療法
- 比較的初期の
がん と、転移 後の痛みなどの症状をやわらげる目的で使われることが多い
- 比較的初期の
- 化学療法
- 転移がある場合に化学療法が行われる
- シスプラチンを中心とした多剤併用療法がしばしば用いられる
- がんが陰茎に留まっている場合は
5年生存率 は90%程度 リンパ節転移 や遠隔転移がある場合は5年生存率は30%以下まで落ちてしまう