にこちんさんけつぼうしょう(ないあしんけつぼうしょう、ぺらぐら)
ニコチン酸欠乏症(ナイアシン欠乏症、ペラグラ)
身体にとって重要なニコチン酸(ナイアシン)の欠乏によって生じる病気
5人の医師がチェック 74回の改訂 最終更新: 2019.02.14

ニコチン酸欠乏症(ナイアシン欠乏症、ペラグラ)の基礎知識

POINT ニコチン酸欠乏症(ナイアシン欠乏症、ペラグラ)とは

ニコチン酸という物質の欠乏によって起こる病気のことです。ニコチン酸は炭水化物や脂肪の代謝に必要なビタミンであり、不足するとさまざまな症状が現れます。ニコチン酸が欠乏する原因は主に栄養不足です。不規則な食生活を送るアルコール依存症の人に多く見られ、発赤、水疱、かさぶた、褐色の色素沈着、発疹などが主な症状です。疑われる人には診察や尿検査が行われて詳しく調べられます。早い段階で治療を行うことができれば、問題ないことが多いですが、手付かずのままだと回復に時間がかかったり後遺症をともなうことがあります。ニコチン酸欠乏症が心配な人は内科や神経内科を受診してください。

ニコチン酸欠乏症(ナイアシン欠乏症、ペラグラ)について

  • 身体にとって重要なニコチン酸(ナイアシンやビタミンB3とも言われる)の欠乏によって生じる病気
    • ナイアシンとはニコチン酸とニコチン酸アミドの総称である
  • ニコチン酸は体内の炭水化物や脂肪の代謝に必要不可欠なビタミンであり、これが足りないためにさまざまな症状が現れる
    • ニコチン酸が欠乏する原因は、主に栄養不足である
  • 抗菌薬のイソニアジドを長期服用した場合にも発症することがある
  • 日本では不規則な食生活を送るアルコール依存症患者に多くみられる
    • 過度なダイエットによる栄養不足も要因となる

ニコチン酸欠乏症(ナイアシン欠乏症、ペラグラ)の症状

  • 典型的な症状は、手足や首の周囲、顔等の日光に当たる場所に現れる、日焼けに似た暗赤色の発疹である
  • 発疹の特徴
    • 発赤(充血して赤くなる)
    • 水疱(水ぶくれ)
    • かさぶた
    • 褐色の色素沈着
    • 発疹は左右対称、両側性である
  • その他の症状
    • 下痢
    • 頭痛
    • 抑うつ状態
  • 病気が進行した場合は脳神経の障害もみられる
    • 記憶障害
    • 見当識障害
    • 錯乱
    • 作話症
    • 興奮
    • うつ状態
    • 躁状態
    • せん妄

ニコチン酸欠乏症(ナイアシン欠乏症、ペラグラ)の検査・診断

  • 視診:皮膚に現れた症状を調べる
    • 日光が当たる部分のダメージはどうかを調べる
    • 発赤水疱、かさぶたができていないかを調べる 
    • 褐色の色素沈着ができていないかを調べる
  • 問診:症状の有無を聴取する
    • 下痢がないか聴取
    • 食生活について聴取
  • 尿検査:尿に含まれるナイアシンの副産物の有無を調べる
    • 必ずしも行われる検査ではない

ニコチン酸欠乏症(ナイアシン欠乏症、ペラグラ)の治療法

  • 早期に治療を行えば危険はない
  • 治療法は簡単な薬物使用や栄養摂取
    • 用いられる薬はニコチン酸アミド(ビタミンB3)
  • 他のビタミンBの欠乏症を合併している場合が多く、その際はビタミンB1、B2、B6が用いられる
  • バランスの取れた食生活が予防に重要

ニコチン酸欠乏症(ナイアシン欠乏症、ペラグラ)に関連する治療薬

ナイアシン製剤(ニコチン酸、ニコチン酸アミド)

  • 脂質の代謝や血管拡張、新陳代謝の改善などの作用によりニコチン酸欠乏によって生じる口内炎や耳鳴り、湿疹などの予防や治療に用いる薬
    • ナイアシンはニコチン酸とニコチン酸アミドの総称で水溶性(水に溶けやすい性質)ビタミン
    • 脂質の代謝や血管拡張作用、皮膚などの新陳代謝の改善など様々な作用をもつ
    • アルコール分解や活性酸素(過剰発生で細胞を傷つける物質)の除去などにも関与する
ナイアシン製剤(ニコチン酸、ニコチン酸アミド)についてもっと詳しく

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