たんどうへいさしょう
胆道閉鎖症
生まれつきあるいは生後間もなくに肝臓と十二指腸を結ぶ管(胆管)が閉塞する病気
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最終更新: 2018.08.14
胆道閉鎖症の基礎知識
POINT 胆道閉鎖症とは
胆道は肝臓で作られた胆汁が流れる道のことで、胆道閉鎖症は生まれもって胆道が閉塞した病気です。胆道は長い臓器なので、閉塞した場所によって胆道閉鎖症はI型、II型、III型に分けられます。「生後2週間経っても改善しない黄疸(皮膚や白目が黄色くなること)」や「便色の異常(薄い色黄色からクリーム色)」や「濃い黄色の尿」などが症状として現れます。胆道閉鎖症が疑われる場合には血液検査や尿検査、十二指腸液検査、肝胆道シンチグラムなどが行われて胆道に閉鎖がないかが調べられます。手術が主たる治療になり、胆道をつなぎ直す方法や肝臓移植などが行われます。手術後は胆道に結石ができないような工夫や感染を予防する工夫などが必要になり、長期的な経過観察が行なわれます。
胆道閉鎖症について
- 生まれる前あるいは生後間もなくに肝臓と十二指腸を結ぶ管(
胆管 )が閉鎖する病気- 肝臓から腸へ胆汁を流すことができなくなる
- 生まれてくる子どものうち、約1万人に1人が
発症 する- 女の子の方が男の子の2倍多く発生する
- 閉塞する部位によってI型、II型、III型に分けられる
- Ⅲ型は胆道の最も上流(肝臓のすぐ付近)で閉鎖するため重症となる
- 難病に指定されおり、申請すれば
症状 の進行具合によって医療費の補助を受けることができる
胆道閉鎖症の症状
- 主に3つの
症状 がある- 生後14日経過しても続いている
黄疸 (皮膚や目の白目が黄色くなる)- 新生児の90%に見られる生理的黄疸は生後14日までに消えることがほとんど
- 胆道閉鎖症の場合は、黄疸が消失せず強くなったり、いったん消失したものが再び出現する
- 便色異常(薄い黄色からクリーム色):もっとも特徴的な症状のひとつ
- 濃い黄色の尿
- 脳や胃、腸からの出血
- 胆汁が腸内に排出されないと、
ビタミン Kの吸収がされにくくなる - ビタミンKが不足すると出血しやすくなり、脳や胃、腸から出血を起こすことがある(乳児ビタミンK欠乏性出血症)
- 特に脳内に出血がおきると脳性麻痺の原因になる
- 胆汁が腸内に排出されないと、
- 生後14日経過しても続いている
胆道閉鎖症の検査・診断
- 血液検査
- 胆汁に関連する成分(
ビリルビン )が血液中に増えていないか、肝臓に障害が出ていないかを調べる
- 胆汁に関連する成分(
- 尿検査
- 胆汁に関連する成分(ビリルビン)が尿中に増えていないかを調べる
- 十二指腸液検査
- 胆汁が適正に出ているか調べる
シンチグラフィ - 胆汁の詰まりがないかを調べる
- 開腹手術を行い、胆道を直接目視で観察しないと診断を確定できないことがある
胆道閉鎖症の治療法
- 手術
- 異常な
胆管 を取り除く手術- 肝管腸吻合術:胆管を一部温存出来る場合は胆管と腸を繋ぐ手術を行う
- 肝門部腸吻合術(葛西手術):胆管を温存出来ない場合は、肝臓と腸を直接縫い合わせる
- 肝臓がダメージを受けて正常に機能していない場合は肝臓の移植(肝移植手術)を検討する
- 異常な
胆道閉鎖症のタグ
胆道閉鎖症に関わるからだの部位

