Beta レビー小体型認知症のQ&A
レビー小体型認知症はどのような病気ですか?
レビー小体型認知症は、認知症の一つです。レビー小体型認知症では、脳にレビー小体とよばれるものがみられることがあります。このレビー小体が脳幹にみられるとパーキンソン病、脳全体にみられるとびまん性レビー小体病になると考えられています。
このびまん性レビー小体病の中で認知症が主体となるものをレビー小体型認知症と呼びます。
レビー小体型認知症ではどのような症状がみられますか?
レビー小体型認知症は、パーキンソン病の仲間の病気の一つです。したがって、レビー小体型認知症でもパーキンソン病のような症状がみられることがあります。具体的には、手足の震えや、歩きにくさなどです。
認知症症状については、アルツハイマー病と比べて、記憶障害がさほど目立ちません。特徴は視空間認知障害(別のQ&Aで説明します)、幻視、症状の変動です。
レビー小体型認知症はどのように診断するのですか?
レビー小体型認知症は症状が特徴的であるため、神経疾患に慣れた医師であれば問診と身体診察でほぼ診断をつけることができます。診断の補助として別項に挙げたような画像検査を行います。
レビー小体型認知症の治療について教えてください。
レビー小体型認知症でも、アルツハイマー型認知症と同じくコリンエステラーゼ阻害薬が使われます。ドネペジル(商品名:アリセプトなど)が保険適応となっています。
レビー小体型認知症はどうして起こるのですか?
レビー小体型認知症では脳にレビー小体というタンパク質が溜まり、このような脳の変化によって認知症症状が引き起こされます。しかし、レビー小体が溜まってしまう原因となると、詳細はまだわかっていません。
レビー小体型認知症で見られる「視空間認知障害」とはどのようなものですか?
視空間認知障害は、目の前にあるものが、見えていてもそこにあると認識できないという症状です。日常生活では、探しているものが視野に入っていてもそれに気づかないといったことで気づかれます。
探しているものが目の前にあるのに「無い無い」と言って探している光景を思い浮かべていただけると、分かりやすいかもしれません。
レビー小体型認知症ではどのような画像検査をするのですか?
レビー小体型認知症の診断のためには、頭部CT/MRIを行い、よく似た他の他の病気がないかを確かめます。また、脳血流SPECTは脳の血流分布を調べる検査ですが、後頭葉と呼ばれる部分の血流が低下していることがレビー小体型認知症の特徴です。
レビー小体型認知症の治療法が開発される見込みはありますか。
レビー小体型認知症の患者は多く、様々な研究が行われています。しかし、完治を目指せる根治薬の開発という点においては、まだ十分ではありません。
レビー小体型認知症はどのくらいの頻度で起きる病気ですか?
レビー小体型認知症は、認知症の中ではアルツハイマー型認知症に次いで頻度の高い病気です。しかし全体で言うと、アルツハイマー病が占める割合の方が圧倒的に多いです。
レビー小体型認知症でみられる幻視とはどのようなものですか?
幻視は、レビー小体型認知症の中核的な症状の一つです。「小さな子供や犬が、庭や部屋にいる」、「お坊さんが通り過ぎていった」といったような、具体的なありありとした幻視がみられることが特徴です。幻視の内容はしっかりと認識でき、周囲の人に説明することが出来るようなものです。
レビー小体型認知症は遺伝する病気ですか?
基本的に遺伝することは無いと考えられます。
レビー小体型認知症の症状の変化(変動)について教えて下さい。
レビー小体型認知症の特徴の一つとして、症状が一定せずに波がある(変動がある)というものがあります。日によって、あるいは同じ日でも時間帯によって、はっきりしていたりぼーっとしていたりと症状が変動します。
レビー小体型認知症は、パーキンソン病と関係がある病気なのですか?
レビー小体型認知症でもパーキンソン病でも、脳にレビー小体とよばれるものがみられることがあります。このレビー小体が脳幹にみられるとパーキンソン病、脳全体にみられるとびまん性レビー小体病になると考えられています。
パーキンソン病の方に何らかの認知症が発症すると、レビー小体型認知症との区別が難しくなります。診断の場では、認知症の発症がパーキンソン症状発症から1年以内であればレビー小体型認知症、パーキンソン病で1年以上経過をみたあとに認知症がみられればパーキンソン病に伴う認知症と区別しています。非常に恣意的な分け方ですが、この2つに根本的な違いがあるかどうかについてはまだ結論が出ていません。
レビー小体型認知症はどのような経過をたどるのですか。
レビー小体型認知症の診断が正しければ、症状は時間とともに進行していきます。
どの程度の速さで症状が進んでいくかは個人差がありますが、症状が進むと、身の回りのことのうち自力でできることが少しずつ減ってくるため、周囲の方の助けが必要になってきます。