けろいど、ひこうせいはんこん
ケロイド、肥厚性瘢痕
ケガや手術の傷が治る際に、皮膚の再生がうまくいかなかったため、傷が盛り上がり目立つ状態
6人の医師がチェック 85回の改訂 最終更新: 2023.06.17

ケロイド、肥厚性瘢痕の基礎知識

POINT ケロイド、肥厚性瘢痕とは

ケガや手術によってできた傷が、治る際に皮膚の再生がうまく行かずに傷が盛り上がり目立つ状態になってしまうことです。常に引っ張られる力がかかっている場所にケロイドはできやすく、具体的には胸や肩、腹などです。ケロイドにならないためには傷への圧迫と皮膚を引っ張る力を抑えることが重要です。また、ケロイドによって関節の動きが悪くなっている人には手術によってケロイドの部分を取り除くことも勧められます。ケロイドについて相談したい人は皮膚科や形成外科を受診してください。

ケロイド、肥厚性瘢痕について

  • ケガや手術の跡が治る際に、皮膚の再生がうまく行かずに、傷が盛り上がって目立ってしまった状態
  • ケロイド肥厚性瘢痕を区別する、明確な診断基準はない
    • ケロイド
      • 傷の範囲を超えて広がっていく
    • 肥厚性瘢痕
      • いつまでも炎症がおさまらず、盛り上がってきてチクチクとしたかゆみや痛みがでることがある
      • 傷の範囲を超えない
  • ケロイドが出来やすい体質(ケロイド体質)があるかどうかははっきりとしてはないない
    • ケロイド体質が事前にどの人にあるかはわからないため、全ての傷は肥厚性瘢痕になる可能性がある
  • 有色人種の方が白色人種よりも発症率が高く、家系的な傾向もあるといわれているが、質の高い研究結果がない
  • 胸、肩、耳たぶ(ピアス後)、下腹有毛部(帝王切開後)はケロイドができやすい
  • 常に引っ張られているような胸部や肩にできやすい
    • 傷の周辺に異物(ピアスなど)があるとできやすい傾向がある

ケロイド、肥厚性瘢痕の症状

  • 患部が赤くなり盛り上がる
  • 周辺に拡大していく
  • かゆみ
  • 触ったときの痛み

ケロイド、肥厚性瘢痕の検査・診断

  • 特別な検査は行わず、診察(視診)のみで診断される

ケロイド、肥厚性瘢痕の治療法

  • 基本的には塗り薬を使った治療が優先されるが、症状が強い人や感染を繰り返す人には手術が検討される
  • 炎症を抑える治療
    • ステロイド薬局所注射:効果が高いとされる
      • ケナコルト®を2週間に1回程度の間隔で注射する
    • ステロイド含有テープ
      • ステロイド薬の炎症を抑える作用による治療(エクラー®、ドレニゾンテープ)
    • 抗凝固薬の軟膏(局所の血流をよくして炎症を抑える)
    • アレルギー薬(トラニスト®)
  • シリコンシートによる圧迫、テーピング
    • 圧迫と皮膚を引っ張る力を抑える(主に術後の再発防止)
  • 手術・放射治療
    • 瘢痕によって拘縮をきたしている場合には手術などの積極的治療が勧められる
    • ケロイド体質によって起こった肥厚性瘢痕であれば、切除によって一旦消えても、再度ケロイドができる可能性もあるため注意が必要
    • 手術痕からケロイドができることを予防するため、ステロイド薬局所注射や放射線照射を行うことがある
    • 再発率は高く45%を超えるとする研究報告が多数ある

ケロイド、肥厚性瘢痕に関連する治療薬

副腎皮質ホルモン(ステロイド外用塗布剤・噴霧薬など)

  • 抗炎症作用や免疫抑制作用などにより、皮膚炎などにおける湿疹、痒み、赤みなどを和らげる薬
    • アレルギー性の皮膚症状は何らかの原因によりアレルギー反応がおこり湿疹や痒みなどがあらわれる
    • 副腎皮質ホルモンは抗炎症作用、免疫抑制作用、細胞増殖抑制作用、血管収縮作用などをもつ
    • 本剤は副腎皮質ホルモンを元に造られたステロイド外用薬
  • 乾癬などの免疫異常による皮膚症状の治療に使用される場合もある
  • 本剤は作用の強さによって大きく5段階に分類される
    • 作用の弱い順に、V群(ウィーク)、IV群(マイルド)、III群(ストロング)、II群(ベリーストロング)、I群(ストロンゲスト)に分けられる
  • 本剤の剤形には、軟膏剤、クリーム剤、液剤などがあり薬剤によっては用途などに合わせた選択が可能な場合もある
副腎皮質ホルモン(ステロイド外用塗布剤・噴霧薬など)についてもっと詳しく

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