どけるばんびょう(きょうさくせいけんしょうえん)
ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)
親指に発生する腱鞘炎の一種。指を使いすぎることで、腱鞘(腱が通る部分)で腱が擦れて炎症が起きた状態。スマートフォンサムの別名がある
7人の医師がチェック 106回の改訂 最終更新: 2022.03.18

ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)の基礎知識

POINT ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)とは

親指に起こる腱鞘炎の一種で、指の酷使で腱が擦れることによる炎症が原因です。親指近くの腱鞘の中には腱が2つ通っているため、腱鞘が狭くなりやすく炎症が起こりやすいと考えられています。パソコンやスマートフォンの使いすぎによって起こることが多いので、オフィスワーカーの人に多く見られます。まれに関節リウマチや細菌感染によって起こることもあります。主な症状として親指が動かしにくさや痛みがあります。まずは、手首から親指にかけて固定する装具をつけて安静にします。それでも症状が改善しない場合には手術を検討します。狭窄性腱鞘炎が心配な人は整形外科を受診してください。

ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)について

  • 親指に発生する腱鞘炎の一種
    • 指を使いすぎることで、腱鞘(腱が通る部分)で腱が擦れて炎症が起きた状態
    • 親指近くの腱鞘の中には、2種類の腱が通っているため狭窄が起こりやすい
  • 主な原因
    • パソコンやスマートフォンの使いすぎ
    • 親指を反復して使う職業に就いている人に起こりやすい
    • 関節リウマチ細菌感染が原因となる場合もある
  • 頻度
    • 更年期を中心に、それ以前であっても、特に女性に生じることが多い

ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)の症状

  • 主な症状
    • 親指が動かしにくくなる
    • 手を動かすと、親指のつけ根に痛みを感じる
    • 親指のつけ根が腫れ上がる
    • 親指にしびれを感じることもある
  • 親指を外側に開いたり、手のひら側に動かすと特に痛みが生じやすい

ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)の検査・診断

  • フィンケルシュタインテスト:指の診察の一種
    • 親指を小指の方に向かって曲げると痛みが強くなる

ドケルバン病(狭窄性腱鞘炎)の治療法

  • まずは保存療法が行われる
  • 保存療法
    • 安静:手首から親指にかけて固定する装具をつけて安静にする
    • 薬物療法:腱鞘にステロイド薬の注射を打つ、痛み止めを飲む
  • 保存療法に効果がない場合
    • 手術には腱鞘切開手術と内視鏡手術の2つがある
    • 腱鞘切開手術の特徴
    • 一般的な手術方法である
    • 親指の手の平の側を切開して、炎症のある腱鞘部分を取り除く
    • まれに、手術中に神経を傷つけてしまうと、指先のしびれや痛みが残ることがある
    • 内視鏡手術の特徴
      • 手の平を数mm切開して、内視鏡の管を差し込み、炎症のある腱鞘部分を取り除く
      • 傷口が小さい
      • 手術時間が短い
      • 内視鏡手術ができるクリニックが少ない
      • 炎症がひどい場合はできない(切開部分が小さいため、炎症のある腱鞘部分を、完全に取り除くことができないため)
    • 手術後にリハビリテーションを行う
  • 手術後のリハビリと注意点
    • 親指の関節を動かす
    • 手指のストレッチを行う
    • 指を使いすぎないようにする(手指を使う仕事や家事を減らす、指先で重いものを持たないなど)
    • 手を使ったあとに、ストレッチを行う
    • 手を過度に使った後にアイシングを行うことで痛みが軽減することもある
  • 長期的な経過
    • 手術で手の動きは改善することが多い
    • 固定期間が長くなる場合でも、リハビリテーションを行うと手の働きが元に戻りやすくなる
    • ステロイド薬の注射は一時的な効果が大きいものの、繰り返すと腱断裂の原因となるために、頻回の注射には注意が必要

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